振込詐欺 架空請求詐欺 競馬情報詐欺 出会系サイト(サクラサイト) 原野商法

いわゆる消費者(被害)問題への取り組みについて

 当事務所は、消費者問題といわれる様々な被害事例を受任してきました。商品先物取引、未公開株や社債、デリバティブなどの投資被害、投機被害、振り込め詐欺系被害、訪問販売やキャッチセールスやマルチ商法などの被害など、さまざまな被害事例があります。また、昨今、詐欺の手口は巧妙化し、ますます被害回復が困難になりつつあります。

 当職が、消費者問題に取り組んできた尊敬すべき先達に学んできたのは、その優れた見識や深い法知識や先端的実践はもちろんのこととして、とりわけ消費者問題に取り組む姿勢であったと感じております。今でも時折思い返す、教えの一つに次のようなものがあります。

従来の法律体系に新しい生命を吹き込むのは弁護士としての不断の研鑽もさることながら、消費者という弱者に対する心遣いである

 当職も、その末席ながら消費者弁護士と名乗る以上は、(広告宣伝をたくさん行い、たくさんの顧客を獲得することを目的とするという意味での)単なるサービス業であってはならず、個別の被害救済に止まらず、何とかこうした被害(詐欺)を撲滅するために微力しながら尽力しなければならないと考えております。

 消費者問題に終止符を打ち、消費者弁護士も必要ではないより良い社会となること、逆説的ではありますが、それが消費者弁護士の究極の使命だと思います。
 
 上記のような諸問題につきましても、初回市民無料法律相談を受け付けております。

 いわゆる「振り込め詐欺救済法」と呼ばれている「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」第3条は次のように定めています
1項 金融機関は、当該金融機関の預金口座等について、捜査機関等から当該預金口座等の不正な利用に関する情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるときは、当該預金口座等に係る取引の停止等の措置を適切に講ずるものとする。
2項 金融機関は、前項の場合において、同項の預金口座等に係る取引の状況その他の事情を勘案して当該預金口座等に係る資金を移転する目的で利用された疑いがある他の金融機関の預金口座等があると認めるときは、当該他の金融機関に対して必要な情報を提供するものとする

 上記のように要件は「犯罪利用預金口座等である疑いがあると認めるとき」ですので、振り込め詐欺だけでなく、他の類型の詐欺行為にも適用があります。弁護士から銀行に情報を提供すれば、当該銀行は犯罪に利用されている疑いのある口座を停止します。それから、仮差押えや訴訟等の手続きを取ることになりますが、迅速に銀行の対応を求めることができる条文となっています。

振り込め詐欺

「示談金を支払わないと大変なことになる。今日中に、100万円を振り込んで」
「国税局のものですが、払いすぎた税金をお返ししたい」

 振り込め詐欺の被害が後を絶ちません。上記のような電話が突然かかってくることがあります。かつては、「オレオレ」などといって家族を装うことから「オレオレ詐欺」など言われたこともありますが、その後、本人役のほか警察官や弁護士役まで登場する「劇場型」、社会保険や税金の「還付」を装い、その実、ATMを操作させて逆に送金させる「還付金詐欺」、サイト利用料の支払いを騙るなど多数のパターンが確認されています。被害類型としては「振り込め詐欺」ということなのですが、電話が突然かかってきたその時点では、「詐欺」であると中々認識できないのも事実です。事件にせよ、事故にせよ、その日のうちにお金を振り込まなければならない事態などまずない、ということを肝に銘ずる必要があります。急に多額のお金を送金する必要があるという連絡を受けても、折り返し、どういうことなのか電話をかけ直したり、周囲の人の助言を聞いたりして慌てないことが肝心です。また、役所から「還付」の連絡が、事前に書面もなく、突然電話で来たりすることもありません。ATMの操作で税金や年金が還付されることもありません。注意が必要です。

「100万円を振り込んだ後で、息子に電話をしたら、振り込め詐欺だと気づいた」

 騙されたと気づいたら、一刻も早く、行動することが大切です。送金に利用した金融機関の窓口に届出、警察に連絡してください。送金先口座は、他人名義や所在不明の人の口座であるなど、詐欺犯人と直接関係ない場合がほとんどであるため、一刻も早く、口座を凍結させる必要があります。弁護士に依頼すれば、依頼者の代理人として金融機関に直ちに口座凍結する要請を行なうこともできます。
 2008年(平成20年)6月21日、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律が施行されました。凍結された口座については、預金保険機構により公告され、被害分配金を按分支給される手続も用意されています。直接振込んだ口座だけでなく、そこから資金移動させた口座についても凍結の上、被害分配金を請求をなしうるので、当初考えていたよりも多く被害回復できる事例もあります。
 
 もっとも、よく考えてみると「不審な電話に気をつけよう」という標語は、不審な電話であることを見分けられる(聞き分けられる)ことを前提にしています。冷静に内容を聞けば詐欺であると判別しうるものであっても、最初に「家族からの電話」だと信用してしまえば、それは「不審な電話」ではなくなり、「大切な家族からの、緊急の大切な電話」になります。振り込め詐欺が一向に減らない原因はここにあるように思われます。これに対応する方法としては、「不審な電話に気をつける」という対応ではなく、不審であろうが緊急だろうが、一定額(たとえば50万円とか)以上のお金の引き出しや送金には、必ず誰か(家族や友人など)に立ち会ってもらう、といったルールを前もって定め、常にルーチン的対応をすることを考えるほかはないように思われます。

 もっとも、騙されてしまったことに気づいたら一刻も早く行動することが重要です。

架空請求

「民事訴訟提起最終告知書 なる題名のハガキが突然届いた」

 公的団体を装ったそれらしき団体名を名乗るところから、「訴訟を取り下げてほしければお金を支払え」とか、「連絡先に電話しろ」、といった趣旨のハガキや封書が届くことがあります。これは何の根拠もなく、何らかに名簿で無差別に通知を送る架空請求です。本当に訴訟が提起された場合には、裁判所名が明記された封筒で、特別送達という、書留のように受取に配達員から押印を求められる郵便で届きます。普通郵便やましてやハガキでそうした正式な文書が届けられることはあり得ません。無視して置いても問題ないのですが、不安であれば弁護士などの専門家や消費者センターに相談してください。

出会い系(サクラサイト)

「タレントの話し相手になってもらいたい」
「会ってくれれば、1000万円差し上げたい」
「今日、○時に○○で会ってほしい」

 異性との「出会い」をうたうサイトに、携帯電話への迷惑メールやSNSでの交流機能で誘われるなどされ、一定期間を過ぎるとメールのやりとり自体が有料(ポイント制)であり、相手の誘導にのって会話を続けていると、クレジットカードや電子マネーなどの購入がびっくりするほど多額になっていた、という被害です。異性との出会いといっても、サイトが雇っているバイトが適当な会話をうちこんでいるだけなので、実際には「出会えない」系サイトとか「サクラサイト」とでもいうべきものであるのが実態です。最近では、タレントのマネージャーと称する者が「タレントの相談相手」を探しているといったストーリーや、会ってくれれば高額なお金を払うからというストーリーで、有料ポイントの購入を継続させるという様々な手口が出てきています。
 当職が最近扱った事案で、クレジットカード会社及び決済会社に支払い停止の抗弁を出し、サイトと交渉して、請求を全て取下げされることで無事解決した(支払わなくて済んだ)というものがあります。最近は電子マネーを使う被害事例が増えています。


競馬情報詐欺(必勝法)

「関係者からの100%確実な裏情報です」「抽選で10名様限定のVIP会員に特別に選ばれました。」
「400万円の回収が確実に見込まれますので、先に手数料として2割の80万円を振り込んでください」
「情報元の事情で情報料が上がった。」
「会社で8割は立て替えますので、利益分の2割を先に振り込んでください。」

 無料や有料の「競馬情報を提供する」と称するサイトに登録すると、「抽選で特別会員に選ばれた。ぜひ電話をください。」などというメールが届くことがあります。これに応じて電話すると「ごく少数の人たちだけに提供される特別な情報がある」「VI会員以外に情報が漏洩しないための保証料として30万円支払って欲しい」などと勧誘され、これに応じるとさらに「今週末に回収予定額1200万円の特別レースがある」「情報元の事情により情報料があがった」「必ず利益を回収できるのだから、利益分の2割の240万円を先に振り込んで欲しい」などと、言葉巧みに、次から次へと金員の振込を要求された被害事例があります。当職が相談を受ける件数も最近増加しています。
 着順が前もって決まっているレースなどあったら、公営ギャンブルとしての公正さが保てないことになり、冷静に考えればこのような情報など「ない」ということは分かるはずです。しかし、既に資金を振り込んでしまっていて、信じたいという気持ちが働くせいか、短期間に数百万円もの支払をさせられる事例も発生しています。
 数百万円を支払っても元が100%とれるレースなど存在しない、という基本的な事実を思い出しましょう。
 そして、そのような高額な情報料を要求するのは、「100%確実な詐欺」と判断して差し支えありません。貴殿または周りの人がそのような高額な料金を支払っていれば、間違いなく詐欺の被害者です。
 対処方法は振り込め詐欺の場合と同じです。被害に気付いたら1日も早く、金融機関、警察、弁護士等に相談すべきです。振り込め詐欺の場合と同じく口座凍結要請もすべきです。口座凍結は警察からの要請か、または弁護士による要請が必要となります。凍結された口座に残高があれば、法的手続を採ることで、被害回復の可能性が出てきます。
 当事務所が最近取り扱った例としては、警察に情報提供など積極的に捜査協力し、刑事事件として立件された後、訴訟・判決等を経て損害額全額の回収を図れた事案や口座凍結後に訴訟等の法的手続を取り、被害額の過半を回収した事案などがあります。関係者を特定できない場合にも可能な限り口座凍結後に警察署に被害届の提出等を行い、被害の撲滅に努めています。


高額宝くじ当選と称して費用を請求

「あなたはtoto&BIG6000万円に当選しました」
「当選金を受け取るには次のサイトでの手続が必要です」
「当サイトでは有料ポイントが必要です」
「現在、手続は99%まで進行しました。残りの手続を早くお進め下さい」


 突然DMが携帯電話やパソコンのアドレスに届く。読んでみると、「あなたはtoto&BIG6000万円に当選しました。」「当選金の受領には手続が必要です」などと記載されている。指定されたサイトは有料ポイントを使用しなければ手続が進めないと記載されている。「1000円なら」と思ってカード決済して手続をしてみると、「別の手続が必要」「現在、手続が95%進行しています。」「○日までに手続して下さい。」といったメールが次々と届き、「1000円」のつもりだったのに、気がつけば数十万円とか100万円の金額にまで達していることがあります。
 「手続」は終了することがなく、次から次へと有料ポイントを決済することとなりますから、架空請求の一種というべき詐欺の一種です。
 カード利用による決済で、カード会社の決済日前であれば、カード会社及びカード決済代行会社に支払停止の抗弁を出した上で、サイト運営会社と交渉します。サイト運営会社が請求取消の手続をしなくとも、カード決済代行会社に公序良俗に反する旨を申しいれると、決済代行会社の方が自発的に請求取消を行う場合もあります。
 当事務所が最近取り扱った例も、カード会社の決裁日前であれば、全事案において請求取消により解決しています。被害に遭ったと気づいたら、早めに弁護士に相談するのが大切です。

 

 

このような詐欺的事案では被害回復の見通しが立てにくいことから、着手金をなるべく安くし(着手する内容によって異なりますが振り込め詐欺対応の一例として11万円程度)、回収できた場合の報酬金を増額して調整するという方法での受任も受けております。まずは 初回市民無料法律相談にて、ご相談ください。