コンビニ加盟店が直面する社会保険未加入問題

週刊ダイヤモンドオンライン(2018.7.24)は「コンビニ加盟店の苦悩、本部は「社会保険未加入問題」も対応渋る」と題する特集を掲載している。

https://diamond.jp/articles/-/175533

 

コンビニ本部がコンビニ加盟店から徴収するロイヤルティは、いわゆる粗利益に課金し、加盟店の支払う人件費その他の経費支払いの前に先取りしている。

平均的なコンビニの1日の売上高は50万円である。月商1500万円、年商にすると1億8250万円ということになり、他の商売からみると立派な売上高だが、コンビニオーナーに残る純利益は驚くほど少ない。

ひと月の粗利益は(粗利益率30%弱として)420万円、このうち約半分がロイヤルティとして本部が先取りする。残りの210万円から、人件費その他の経費を支払い、残りはせいぜい50万円である。

しかし、この50万円というのは本部が作成する損益計算書上の数字であって、オーナーが全額を利益として手にできる数字ではない。

記事で取り上げられている社会保険、じつは、本部の損益計算書には計上されていない。すなわち、本部作成の損益計算書上ではオーナーの利益のように見える「50万円」から負担しなければならないのである。正社員や週20時間以上勤務するパートを抱えていれば、その負担額はすぐに十数万円に達する。大まかな計算であるが、月の人件費130万円に対して社会保険料負担は約15%、19万5000円となる。オーナーはこれでは到底やっていけないし生活できない、ということになる。

本部の設定しているロイヤルティ率は、オーナーがぎりぎり生活しているレベルで設定したものと想定されるが、従業員の社会保険料は勘定に入れてなかったのであろう。現に多くの加盟店は今だ社会保険未加入である。ロイヤルティの設定は、昭和50年台、安い単価で雇用できるアルバイト・パート従業員でシフトを回すことを想定していた。しかし、この構図はもはや維持が困難である。最低賃金も上がっている。コンビニを今後も維持するのであれば、ロイヤルティが高すぎるのであって、下げるしかない。

コンビニ本部は加盟店と向き合い、きちんと対話して、社会情勢の変化に応じた相応の負担を負うべきである

2018年08月08日