ブログ一覧

四谷の春


 四谷の桜も見頃です。本年は弁護士生活20年目に入りました。気を引き締め、一層業務に注力したいと思います。



2016年04月01日

未成年者の意思表示と取消

未成年者が、法定代理人の同意を得ずに行なった行為は、取り消すことができる(民法5条)。
ただし、行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときには、その行為を取り消すことができない(民法21条)。

準禁治産者についてであるが詐術に関する最高裁判例がある。「民法二〇条にいう「詐術ヲ用ヰタルトキ」とは、無能力者が能力者であることを誤信させるために、相手方に対し積極的術策を用いた場合にかぎるものではなく、無能力者が、ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて相手方の誤信を誘起し、または誤信を強めた場合をも包含すると解すべきである。したがつて、無能力者であることを黙秘していた場合でも、それが、無能力者の他の言動などと相俟つて、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、なお詐術に当たるというべきであるが、単に無能力者であることを黙秘していたことの一事をもつて、右にいう詐術に当たるとするのは相当ではない。これを本件についてみるに、原判示によれば、Bは、所論のように、その所有にかかる農地に抵当権を設定して金員を借り受け、ついで、利息を支払わなかつたところから、本件土地の売買をするにいたつたのであり、同人は、その間終始自己が準禁治産者であることを黙秘していたというのであるが、原審の認定した右売買にいたるまでの経緯に照らせば、右黙秘の事実は、詐術に当たらないというべきである。それ故、Bが、本件売買契約に当たり、自己が能力者であることを信ぜしめるため詐術を用いたものと認めることはできないとした原審の認定判断は、相当として是認できる。」(最判昭和44年2月13日民集22-2-291)。当該事案は、準禁治産者自身が行為能力者であるかのように振る舞っていた経緯があるが、結論としては、それでも詐術には該当しないと判断していることに留意が必要である。

取引の安全よりも行為制限能力者の保護の必要性が高い場面であり、安易に詐術に該当すると判断することは慎むべきであろう。

2016年07月01日

未成年者の意思表示と取消 2

経済産業省は「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂し、平成28年6月3日に公表している。

未成年者取消に関する記載についても改訂されている(51頁)。
「(3)未成年者が詐術による申込みを行った場合(民法第21条)」
「事業者が申込みの受付の際に画面上で年齢確認のための措置をとっているときに、未成年者が故意に虚偽の年齢を通知し、その結果、事業者が相手方を成年者と誤って判断した場合には、未成年者が「詐術を用いた」ものとして、民法第21条により、当該未成年者は取消権を失う可能性がある。
「詐術を用いた」ものに当たるかは、未成年者の年齢、商品・役務が未成年者が取引に入ることが想定されるような性質のものか否か(未成年者を対象にしていたり訴求力があるものか、特に未成年者を取引に誘引するような勧誘・広告がなされているか等も含む)及びこれらの事情に対応して事業者が設定する未成年者か否かの確認のための画面上の表示が未成年者に対する警告の意味を認識させるに足りる内容の表示であるか、未成年者が取引に入る可能性の程度等に応じて不実の入力により取引することを困難にする年齢確認の仕組みとなっているか等、個別具体的な事情を総合考慮した上で実質的な観点から判断されるものと解される。
すなわち、「未成年者の場合は親権者の同意が必要である」旨を申込み画面上で明確に表示・警告した上で、申込者に生年月日等未成年者か否かを判断する項目の入力を求めているにもかかわらず未成年者が虚偽の生年月日等を入力したという事実だけでなく、さらに未成年者の意図的な虚偽の入力が「人を欺くに足りる」行為といえるのかについて他の事情も含めた総合判断を要すると解される。」とあり、「(取り消すことができる(詐術に当たらない)と解される例)」として
・単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合
・利用規約の一部に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と記載してあるのみである場合
が挙げられている。
 単なるワンクリック程度では詐術には該当しないということが従前の記載よりも明確になっており、詐術に関する判例や通説からしても、準則の改訂内容は適当と考えられる。


2016年07月03日

未成年者の意思表示と取消 3 シャンパンタワー事件

シャンパンタワー事件 京都地判平成25年5月23日(判時2199号52頁)

16歳の息子X2が父親X1の財布からクレジットカードを盗み出し、そのカードを利用して友人Aとキャバクラで豪遊した。カード会社Yは、X1に対してはカード会員規約に基づき、X2については不法行為に基づき500万円余の反訴請求を行なった事案である。未成年者の詐術、盗難カード利用の免責条項の問題など、重要な論点について判断した事案であり、実務上参考になる。

1 未成年者取消(民5条2項)の可否
「キャバクラ営業店が、年齢確認をしないで誤って18歳未満の者を入店させ、その者との接客契約に基づき、享楽的な雰囲気の中で酒を提供したという場合、裁判所としては、詐術概念を緩やかに理解して取引の安全を保護するよりも、年齢確認義務がおろそかにされ、結果的に、風営法が維持しようとした健全な風俗が害されたことを危惧すべきことになる。」
「確かにX2は、本件各店において、高価な酒のボトルを注文したり、ホステスにアクセサリーをプレゼントするという行動をしているが、それら行動は、大人びた行動というだけであって、積極的に年齢を偽るという行動ではない。」風俗営業点側から年齢確認されたことが一度もないことも考慮すれば、本件各契約は、未成年者取消によって効力を失った。

2 公序良俗(民90条)違反
(1)「健全な風俗を害する接客行為」
「店側が、X2が未成年者であることを知りながら接客契約を締結しその履行を求めた、あるいは、X2が未成年者であることを疑うべき当然な状況があるのに敢えて年齢を確認しようともせず(故意と同視すべき程度に重大な過失に基づき)接客契約を締結しその履行を求めたという事情がある」ものは「健全な風俗を害することから民法90条に抵触するものと評価すべきである」。
(2)「不正行為を伴い、かつ、暴利を得る接客行為」
一晩で100万円以上もする「異常な代金」のものについては、加盟店の「従業員やホステスが客の思慮不足に乗じ、巧みに働きかけることによって発生させた」ものであり、しかも本件では「クレジットカードの不正使用を知りながら、これを咎めるどころか、不正使用に便乗して暴利を得ようとする行動である」として、「客が未成年者であろうとなかろうと民法90条に抵触して無効と評価すべきである」
(3)「暴利行為となる接客行為」
「成年者が自己の稼ぎで散在している限りとやかくいうほどの金額ではない」にしても、「未成年者に対する風俗営業店の代金としては暴利行為に該当する」ほどの「異常に高額」なものは、「客が未成年者であることに照らし、暴利行為であるから民法90条に抵触し無効と評価すべきである」。

3 カード会員規約による請求の可否
 「X1のカード利用代金債務の存否は、本件各契約の無効・取消しとは別個に検討しなければならない」。
「カードの紛失、盗難」に関するYの本件カード会員規約7条に関して、家族が窃盗犯人である場合には会員のカード利用代金債務は免責されないとする本件規約7条3項ただし書の合理性は認める。
「信販会社には、カード不正使用の不利益からカード会員を保護するため、信義則上、不正使用の可能性がうかがわれる一定の場合、カードの使用者が本人かどうかを確認するための合理的な手段をとり、本人確認の状況が疑わしい場合にはカード決済を暫定的に見合わせる程度の義務は負うものというべき」であり、「信販会社の義務が十分に果たされずに不正使用が拡大し、しかも、窃盗犯人と加盟店との間の原因契約が公序良俗に反するという場合、裁判所としては、加盟店の公序良俗違反行為に対する寄与の度合い、信販会社による本人確認の状況等の諸事情を総合的に考慮し、不正使用による損害を会員に転嫁することが容認しがたいと考えられる場合には、本件契約7条ただし書に基づく会員に対するカード利用代金請求が権利の濫用となる(あるいは信義則に反する)として民法1条2項ないし3項に基づく公権的解決を図ることができる」
本件各契約代金のうち民法90条に抵触しないもの(合計76万3170円)については、「不正使用による損害を会員に転嫁することが容認し難いとまではいえないから、X1は、本件規約7条3項ただし書きが適用される結果、その支払義務を負う」が、民法90条に抵触するもの(合計476万5056円)については、加盟店が「X2の思慮不足に乗じ、巧みに働きかけたり、不正使用に便乗して高額な代金を発生させたものであって、加盟店の公序良俗行為(ママ)への寄与は相当に大きいもの」であり、またY1の本人確認も不十分であることから、「不正使用による損害を会員に転嫁することが容認し難いといわざるを得ず、本件規約7条3項ただし書きに基づくY1の請求は、権利の濫用ないし信義則に反するものとして許されない」。

4 未成年者に対する不法行為の請求の可否
「未成年者取消しによって発生する財貨の偏在は、不法行為法理によってではなく、不当利得法理によって清算されると解するのが、民法の解釈として正しいというべきである」として、YのX2に対する不法行為に基づく損害賠償債権の発生を否定した。

2016年07月04日

未成年者取消と成年年齢引き下げ問題

平成27年6月17日公職選挙法改正により、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議員及び長の選挙権は「年齢満18年以上」とされ、「満20年」から引き下げられた。これにより、満18歳をもって成人とすべきという議論が進められ、民法、少年法その他の関係法律で「10歳以上」となっている年齢条項を包括的に見直す動きとなっている。

消費者問題を取り扱う弁護士としては、民法の成年年齢を引き下げて、18歳や19歳の者が未成年者取消を使えなくなり、保護の対象から外すという結論は早計なのではないかと考える。

全国の消費生活センターに寄せられた消費生活相談の件数において、18~19歳の相談件数と20~22歳の相談件数を比較すると、後者は前者の1.4倍から1.9倍となっており、明らかな傾向の相違がある。とりわけ、マルチ取引の平均相談件数は、後者は前者の12.3倍にもなっている。こうした商法は、まさに未成年者取消を使えないが(未成熟で騙しやすい)新成人をターゲットとして狙い撃ちしていると想定される。

筆者の相談経験に照らしても、大学生は、各種商法(マルチ商法、タレント商法等)のターゲットにされているという実感がある。大学1年、2年生の内は、現実の社会を見聞しつつも、何か詐欺的な被害に遭ったときに、未成年者取消という強力を保護手段をとり得ることに当面はしておくのが妥当ではないか。

当事者たる18歳、19歳の若者も、民法上の成年となることを望まない方が過半数という調査結果もあるようであり、慎重に議論すべきだろう。

 

2016年07月05日

消費者契約法改正 過量契約の取消

消費者契約法改正法が平成28年(2016年)5月25日に成立し、同年6月3日に公布された。施行期日は1年後の平成29年(2017年)6月3日である。

1 過量な内容の消費者契約法の取消

消費者契約法第4条4項として、規定が新設された。

消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者が既に当該消費者契約の目的となるものと同種のものを目的とする消費者契約(以下この項において「同種契約」という。)を締結し、当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるもので
あることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする。
消費者契約の分量等が過量(通常の分量等を著しく超えるもの)であること
契約勧誘当時、事業者がこれを知っていたこと(故意)

過量販売が、訪問販売として行なわれた場合には特定商取引法9条の2の解除の適用もあることから、消費者契約法はそれ以外の場面でも適用があることから、被害救済の範囲が拡大するものと想定される。
事業者の過量性についての認識(故意)の主張・立証責任は消費者側にあると解されている。分量が客観的に過量であれば、通常は過量性の認識はあると考えられるので、過量ではあるが、事業者の故意がなかったと判断される事案は多くないと思われる。

2016年07月08日

消費者契約法改正 重要事項の範囲拡大

消費者契約法第4条5項3号において「重要事項」の範囲を拡大し、契約の目的物に関しない事項についての不実告知についても取消が可能となった。

同法4条5項

第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項(同項の場合にあっては、第三号に掲げるものを除く。)をいう。
一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
三 前二号に掲げるもののほか、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情

これにより、これまでは取消の対象とはならなかった「床下にシロアリがいるので、駆除しないと家が倒壊する」と言われてシロアリ駆除作業を頼んだが、実際にはシロアリ被害はなかった事例や、原野所有者が、測量会社から「土地が開発されて売却できそうです」と言われて、測量契約を締結したが、実際には市場性は認められない事例などへの適用が想定される。後者については財産・利益について「損害又は危険を回避する」に該当するか論点となりうるが、原野の売却による利益を得られないという消極的利益であっても、これに該ると解されている。

2016年07月11日

消費者契約法改正 取消権行使期間延長

消費者契約法改正(平成28年6月3日公布、平成29年6月3日施行)において、第7条1項が改正され、取消権の行使期間のうち短期について6月から1年へと延長された。長期(5年)については変更はない。

第七条
第四条第一項から第四項までの規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によって消滅する。当該消費者契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。

これまでは同法によって取消可能な事案であっても、既に取消権の行使期間を過ぎてしまっていた案件が見受けられたところ、その期間が延長され、救済可能性が広がったものといえる。

2016年07月12日

消費者契約法改正 解除権を放棄させる条項の無効

消費者契約法改正(平成28年6月3日公布、平成29年6月3日施行)において、第8条の2が新設され、不当条項リストの無効が規定された。

(消費者の解除権を放棄させる条項の無効)
第八条の二
次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。
一 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項
二 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させる条項


改正前の消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)によって規制されるべき対象と解されるが、不当条項として明文化されることにより解釈上の疑義がなくなり、無効を主張しやすくなったといえる。

2016年07月13日

特定商取引法改正 指定権制の見直し

特定商取引法は消費者契約法と同時に平成28年5月に改正法が可決され、平成28年6月3日に公布された。施行日は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲において政令で定める日とされている。

指定権制の見直しがなされた。

従前、特商法上の「役務提供」と「権利の販売」については、役務の提供を行なう者が契約当事者となる場合(二者間契約)を「役務の提供」とし、役務の提供を行なう者以外の第三者が役務提供を受ける地位を販売する場合(三者間契約)には「権利の販売」として理解されていた。

そして「権利の販売」については指定権利制が取られ、「指定権利」とは「施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであって政令で定めるものをいう」(法2条4項)とされ、政令3条・別表第1において
① 保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利
② 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利
③ 語学の教授を受ける権利

と定義されていた。しかし、従来の指定権利制ではそもそも「権利の販売」に該当しそうであるが「指定権利」ではない商品、すなわちCO2排出権の売買、社債や未公開株の投資商品といったものの被害事例が生まれ、特商法の規制の網を掛けられないのではないかという問題が指摘されていた。
今回の平成28年改正では、指定権利制を見直し、「特定権利制」を導入した。

(改正法2条4項)
4  この章並びに第五十八条の十九及び第六十七条第一項において「特定権利」とは、次に掲げる権利をいう。
一 施設を利用し又は役務の提供を受ける権利のうち国民の日常生活に係る取引において販売されるものであつて政令で定めるもの
二 社債その他の金銭債権
三 株式会社の株式、合同会社、合名会社若しくは合資会社の社員の持分若しくはその他の社団法人の社員権又は外国法人の社員権でこれらの権利の性質を有するもの

従前の指定権利であったものは改正法の特定権利の1号に該当することになる。これに加えて、「役務」の解釈を見直し、仮に事業者が権利の販売であると主張しても、取引の実態が労務または便益の提供を内容としていると考えられるものは「役務の提供」として規制の対象とすることなった。

2016年07月20日

特定商取引法改正 電話勧誘販売における過量販売規制

 電話勧誘販売における過量販売規制が導入された。これまでは訪問販売において同様の規定があったが、これを電話勧誘販売にも拡張したものである。

第二十四条の二(新設)
申込者等は、次に掲げる契約に該当する売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。ただし、申込者等に当該契約の締結を必要とする特別の事情があつたときは、この限りでない。

一 その日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える商品若しくは特定権利(第二条第四項第一号に掲げるものに限る。次号において同じ。)の売買契約又はその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えて役務の提供を受ける役務提供契約

二 当該販売業者又は役務提供事業者が、当該売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務を履行することにより申込者等にとつて当該売買契約に係る商品若しくは特定権利と同種の商品若しくは特定権利の分量がその日常生活において通常必要とされる分量を著しく超えることとなること若しくは当該役務提供契約に係る役務と同種の役務の提供を受ける回数若しくは期間若しくはその分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えることとなることを知り、又は申込者等にとつて当該売買契約に係る商品若しくは特定権利と同種の商品若しくは特定権利の分量がその日常生活において通常必要とされる分量を既に著しく超えていること若しくは当該役務提供契約に係る役務と同種の役務の提供を受ける回数若しくは期間若しくはその分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を既に著しく超えていることを知りながら、申込みを受け、又は締結した売買契約又は役務提供契約


一号の規定は、1回の販売行為で、販売量が通常必要とされる分量を著しく超えた場合に関する規定である。一人暮らしの老人に1回に、5セットの布団を販売するような場合がこれに該当する。

二号の規定は、前段は、消費者が既に同種の商品や特定権利等を購入している場合に、当該事業者の販売行為によって、結果として、通常必要とされる分量を著しく超える場合である。事業者に結果的に過量となることの認識が必要である。半年間に浄水器3セット既に購入しているのに、さらに事業者が2セットを販売した場合で、当該事業者が既に浄水器を購入している事実を知っているような場合がこれに該当する。
 後段は、既に消費者の購入が過量となっている場合に、事業者が販売した場合である。事業者に既に過量となっていることの認識が必要である。既に消費者が1年半分の健康食品を購入していることを当該事業者が知りながら、さらに同種の健康食品を1年分販売するような場合がこれに該当する。

2016年07月21日

オーストラリアフランチャイズ法

オーストラリア競争消費者法(Conpetition and Consumer Act 2010)の51AEに規定された産業行為規則(Industry Code of Conduct)制度に基づいて連邦大臣が、フランチャイズ行為規則(Franchising Code of Conduct)を制定し、がオーストラリア国内(連邦内)のフランチャイズを規制している。日本におけるフランチャイズ法導入を検討する参考資料として、これを試訳したものである。なお、オーストラリア法及び和訳に関してはほぼ素人であるため、正確には原文に当たられたい。https://www.legislation.gov.au/Details/F2014L01472

競争消費者規制法(フランチャイズに関する産業規則)2014

セクション1

1 名称
  競争消費者(フランチャイズに関する産業規則)規制法2014という。
2 施行
 本規則は2015年1月1日に施行する。
3 根拠
本規則は競争消費者法2010のセクション51AEの下で制定された。
4 行為規則
競争消費者法2010の規則セクション51AEのために、スケジュール1に記載された規則:
(a)は所定である。 そして
(b)は、必須の産業規則である。
5 8条に関する経過措置
(1)新法8条(1)項は、フランチャイザーが既存の情報開示書面を有している場合には適用しない。
(2)フランチャイザーは、既存の情報開示書面を有している場合
(a)既存の開示資料は、2015年11月1日の前であれば新法の下で、交付されてもよい。
(b)フランチャイザーは、2015年10月31日までに、新法8条(3)(4)及び(5)項に適合するように既存の情報開示書面を改定しなければならない。
(c)新法第8条(6)項の規制(requirements)は、2015年1月1日以降に開始する事業年度のものに適用される。
(3)このセクションにおいて:
「既存の情報開示書面」とは、2015年1月1日に存在する(旧法における)フランチャイザーの情報開示書面を意味する。
「新規則」とはこの文書のスケジュール1で規定される、「フランチャイズ行為規則」を意味する。
「旧規則」は、取引慣行(産業規則-フランチャイズ)規制集1998に規定され、 2015年1月1日までは直ちに効力のある「フランチャイズ行為規則」 をいう。

6 調停仲介者の継続的任命の経過措置


2015年1月1月以前に直ちに効力のある取引慣行規制集1998(産業規則-フランチャイズ)に規定されたフランチャイズ行為規則パート4のための調停仲介者の任命は、これらの規制の撤廃にかかわらず、この規則のスケジュール1に記載されたフランチャイズ行為規則パート4のための調停仲介者の任命として、効力を持つ。


スケジュール1 - フランチャイズにおける行為規範

注:セクション4を参照

パート1 - はじめに

ディビジョン1 -前書き

第1条 規則名
  本規則は「フランチャイズ行為規則」という。

第2条 規則の目的
  本規則の目的は、フランチャイズの当事者の他方当事者に対する行為を規制することにある。

第3条 適用範囲
(1)(4)項を条件に、この規則は1998年10月1日以降に締結したフランチャイズ契約に関して(旧規則下で生じた債務支払義務の免除を除き)2015年1月以降に発生する行為に適用される。
(2)(2)ただし、本規則は、下記のフランチャイズ契約には適用されない。
(a)競争消費者法2010のセクション51AEで規定される別の義務的規則が適用されるもの、または
(b)下記の場合
(i)フランチャイズ契約が、当該フランチャイズ契約締結以前に、フランチャイジーにより供給されたものと実質的に同じである商品又はサービスのためのものの場合。
(ⅱ)フランチャイジーが当該フランチャイズ契約を締結する以前の少なくとも直近2年間に、これらの商品やサービスを供給していた場合。 そして
(iii)当該フランチャイズにおける売上高が、フランチャイズの最初の年のその種の商品またはサービスのフランチャイジーの総売上高の20%に満たない可能性が高い場合。
(3)以下の場合は(2)項(b)のフランチャイズ契約への適用を停止する。

(a)当該フランチャイズ契約における売上高が、3年連続で商品やサービスのフランチャイジーの総売上高の20%以上を提供する場合。そして

(b)フランチャイジーが(a)項の適用をフランチャイザーに通知する場合。

(4)次の表の第2欄に記載されたこの規則の規定は、第1欄に記載されたフランチャイズ契約には適用されない。

この規則の規定は特定のフランチャイズ契約には適用されない。

第1欄
以下の期間に フランチャイズ契約を締結している場合は
第2欄
これらの規定は、契約には適用されない


1  2008年3月1日以降2015年1月1日以前
(a)21条(2)項、及び
(b)22条および23条を

2  1998年10月1日以降2008年3月1日以前
(a)第20条(1)(B)
(b)第21条(2)
(c)第22条および23条を

(5)ただし、(4)は、2015年1月1日以降に契約が変更された場合、第1欄に記載されたフランチャイズ契約には適用されない。

(6)本条では、
旧規則は、取引慣行(フランチャイズ産業規則)規則1998のスケジュールに記載され、2015年1月1日までは直ちに効力を有するフランチャイズ行為規則をいう。

ディビジョン2 - 定義

第4条 定義
(1)本規則における定義
「 ABN」とは、 新税制法(オーストラリア企業番号)1999年と同一の意味である。
「アソシエイト」とは 、フランチャイザーにとって、下記の者をいう。
(a)
(i)フランチャイザーの取締役または関連する法人、またはその関連法人の取締役
(ii)当該フランチャイザーを直接的または間接的に所有、支配し、または発行された議決権付株式の少なくとも15%の投票権を有しているオーナー企業であるフランチャイザー
(iii)当該フランチャイザーの共同経営者
(b)フランチャイザーとの関係が、下記の理由によりフランチャイズシステムに関連していること。
(ⅰ)フランチャイジーに商品やサービスを提供する者。 または
(ⅱ)賃貸借かそれ以外かを問わず、フランチャイジーに店舗を使用する権限を与える者
(iii)フランチャイズシステムで使用される知的財産の所有者 または
(iv)フランチャイズシステムの市場調査、市場化テスト、市場開発、販売促進や管理の関係者。

「情報開示書面」は、第8条で定義される。

自然人の「電子署名」は、電磁的形式での人の固有の識別を意味する。

「運営に従事する」とは:
(a)ある行為を行う。 または
(b)ある行為をすることを省略することをいう

「期間延長」
(a)フランチャイズ契約の範囲に関連して、以下のかかる重大な変更を意味する。
(ⅰ)契約の期間や条件、 または
(ii)契約下で、または契約に関連するある者の権利。 または
(iii)契約下で、または契約に関連し、ある者に課される義務。 または
(b)フランチャイズ契約の期間に関連して、契約期間中のフランチャイジーによって行使可能なオプション以外の理由で、契約期間が延長された場合に発生する。

「会計年度」は 、フランチャイザーとフランチャイズに関連して、フランチャイザーのために用意されるフランチャイズに関する財務諸表で、12ヶ月間の期間を意味する。

「フランチャイズ」には、次のものが含まれる。
(a)フランチャイズ契約に基づく権利と義務
(b)マスターフランチャイズ
(C)サブフランチャイズ、
(d)フランチャイズにおける利益

「フランチャイズ契約」は、第5条で定義される。

「フランチャイジー」には、次のものが含まれる。

(a)フランチャイズ権を付与された者
(b)それ以外のフランチャイジーとしてフランチャイズに参加している者
(c)フランチャイザーとの関係でのサブフランチャイザー。
(d)サブフランチャイザーとの関係でサブフランチャイジー。

「フランチャイズシステム」は、フランチャイザーがフランチャイジーにフランチャイズを付与したビジネスシステムを含む。

「フランチャイザー」には、次のものが含まれる。
(a)フランチャイズ権を付与する者
(b)それ以外のフランチャイザーとして、フランチャイズに参加する者
(c)サブフランチャイジーとの関係でサブフランチャイザー。
(d)マスターフランチャイズシステムでサブフランチャイザー。
(e)フランチャイジーとの関係でサブフランチャイザー。

「フランチャイズにおける利益」には次における法的権利または受益権が含まれる。
(a)契約に基づくフランチャイジーの義務の保証またはそれ以外の要因によって生じたかにかかわらず、フランチャイズ契約またはフランチャイズビジネスまたは
(b)上場企業ではないとしても、フランチャイズビジネスを所有している企業の株式または議決権
(c)フランチャイズビジネスを所有しているユニットまたは他の信託の単位権又は議決権 または
(d)フランチャイズビジネスを所有するパートナーシップの資本または収入

「マスターフランチャイズ」は、フランチャイザーがサブフランチャイザーに下記の権利を付与するフランチャイズを意味する。
(a)サブフランチャイズ権を付与する権利。 または
(b)サブフランチャイズに参加する権利。

「自動車」は、揮発性の液体、ガス、石油、電気(人力または動物使用を除く)他の電源を使用し、又は使用するように設計された車両を意味するが、鉄道又は路面軌道上で使用され、又は使用するよう設計されたものを含まない。
注:自動車の例は下記のとおり。
(a)自動車
(b)オートバイ
(c)トラクタ
(d)電動農業機械
(e)電動建設機械
(f)航空機
(g)モーターボート

「自動車ディーラー」とは、自動車の購入、売却、交換又はリースに関する事業で、自動車の交換、リース、販売、購買について唯一の信用プロバイダ、またはその他の金融サービスの提供者として関与している者以外の者によって行われているものを意味する。

「信義誠実の原則」については第6条参照

「フランチャイジー予定者」とは、フランチャイズの権利を受けるためにフランチャイザーと交渉する者をいう。

「契約更新」 フランチャイズ契約に関連して、契約期間中にフランチャイジーが契約更新のオプションを行使する際に生じる

「重大な違反行為」とは
(a)連邦、州またはその地域の法に反する行為であって、作為または不作為が、ジャービス湾特別地域で行われていた場合、その行為者が、最初の有罪判決について、5年以上の期間の懲役に処せられたこと。 または
(b)会社法2001のいずれかの条項に違反すること。

注:ジャービス湾特別地域は、連邦の刑法が適用される法域であるため言及されている。

「重要な資本支出」第30条(2)項を参照。

「サブフランチャイザー」とは次の者をいう。
(a)マスターフランチャイズとの関係でフランチャイジー。
(b)マスターフランチャイズの下で付与されサブフランチャイズとの関係でフランチャイザー。

「商標」は、 商標法1995に定義されている。


注:商標とは、商品やサービスの取引の過程において、他の商品やサービスを扱う者と明確に区別するために使用または使用を予定される記号(任意の文字、単語、名前、署名、数字、意匠、ブランド、見出し、ラベル、チケット、パッケージの様相、形状、色、音、香りを含む(またはこれらの任意の組み合わせ))である( 商標法1995のセクション17を参照)

「譲渡」とは 、フランチャイズ契約に関連して、下記の場合を含む。
(a)フランチャイザーと譲受人予定者との間で新しいフランチャイズ契約が締結されるという前提で、当該契約が終了する場合。 または
(b)当該契約に基づくフランチャイジーの権利と義務が、譲受人予定者に譲渡された場合。 または
(c)当該契約において特定の条件下でそれらの条件が成就した時に譲渡を企図している場合。

(2)この規則では、以下の用語は、 会社法(2001)の定義による。
 ACN
 ARBN
 法人
 連結企業体
 取締役
 外部から管理された法人
管理下での支払不能
上場会社
不正行為
役員
親会社
登録された監査役
登録事務所
関連会社
小規模専有会社

第5条 フランチャイズ契約の定義
(1) フランチャイズ契約は契約であって
(a)全体または部分的に、以下のいずれかの形式をとること
(ⅰ)契約書。
 (ii)口頭合意。
 (iii)黙示の合意。 そして
(b)ある者(フランチャイザー)が他の者(フランチャイジー)に対し、オーストラリアにおいて、フランチャイザーまたは共同フランチャイザーによって実質的にシステムやマーケティング計画が決定され、管理または提案されるシステムのもとで、商品やサービスの提供、供給、または配布する事業を実施する権利を付するものである、 そして
(c)事業の運営が実質的にまたは物質的に商号、広告や商業的シンボルに関連付けられている下での
(i)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトによって所有され、使用されまたは許諾されているもの。 または
(ii)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトによって指定されるもの
(d)事業を開始または継続する前に、フランチャイジーは、フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトに、例えば、下記を含む金員を支払うか、または支払に同意する必要がある、
(ⅰ)初期設備投資費 または
(ii)商品またはサービスに対する支払い。 または
(iii)ロイヤリティあるいはフランチャイズサービス料との呼び名にかかわらず、総収入や純利益に対する割合に基づく支払い。または
(iv)訓練費や研修授業料。
ただし下記を除く
(v)実際の卸売ベースで供給された商品やサービスに対する支払い。 または
(vi)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトからの融資に対するフランチャイジーによる返済。 または
(vii)実際の卸売ベースで委託または供給された商品に対する支払い。 または
(viii)フランチャイズ契約において、事業を開始しまたは継続するために必要な不動産、備品、設備の市場価格の支払

(2)(1)項において、下記のいずれもフランチャイズ契約であると解釈される。
(a)フランチャイズ契約の譲渡や更新
(b)フランチャイズ契約の適用範囲や期間の拡張・延長
(c)自動車販売店契約。

(3)ただし、下記のいずれもそれ自体はフランチャイズ契約を構成しない。
(a)雇用主と従業員の関係
(b)提携関係。
(c)家主とテナントの関係。
(d)抵当権及び抵当権の関係;
(e)貸し手と借り手の関係;
(f)以下の法律のいずれかの下で、登録され、組み込まれ、または形成されている協同組合のメンバーとの関係:
(ⅰ)会社法2001年法律 。
(ⅱ)協同組合法1992(NSW);
(ⅲ)協同組合法1996(ヴィック);
(ⅳ) 協同組合法1997 (クイーンズランド州)
(v)協同組合法2009(WA)
(vi) 協同組合法1997(SA);
(vii) 協同組合法1999(TAS)
(viii) 協同組合法2002 (ACT)
(ix) 協同組合法1997(NT)

ディビジョン3 -信義誠実義務

第6条 誠実に行動する義務

  誠実に行動する義務
(1)フランチャイズ契約の各当事者は、相手方当事者に対し、下記またはこれに関連して生じる、いかなる事項に関しても、その時点における不文律の意味の範囲内で、信義誠実の原則に基づき行動しなければならない。
(a)契約
(b)本規則
 これが誠実に行動する義務である
 民事罰:300ペナルティユニット。

(2)誠実に行動する義務は、下記の点でフランチャイズ契約の当事者になろうとしている者にも適用される。
(a)提案されている契約書案に関するあらゆる取引又は紛争 そして
(b)提案されている契約書案に関する交渉、そして
(c)本規則

 裁判所が考慮することが可能な事情

(3)裁判所は、フランチャイズ契約の当事者が(1)項に反したかどうかを決定する目的で事情に制限されることなく、考慮してよい。
(a)当事者が正直に、恣意的にではなく行動したかどうか。 そして
(b)当事者が契約の目的を達成するために協力したかどうか。

フランチャイズ契約によってこの義務を制限したり除外したりすることはできない。

(4)フランチャイズ契約において、誠実に行動する義務を制限したり、除外したりしてはならず、万が一そのような規定があっても、効力を有しない。

(5)フランチャイズ契約は、ある特定の時点の、又はある時点から時点までの特定の期間につき、修正の有無に関わらず、別の文書の用語を、適用し、採用し、又は組み込むことにより、誠実に行動する義務を制限せず、または除外しないことがある。

他の行為は義務により常に取ることができる。

(6)疑義を回避するために、誠実に行動する義務は、フランチャイズ契約の当事者または当事者になろうとしている者に対して、その者たちがその正当な商業的利益で行動することを妨げてはならない。

(7)フランチャイズ契約が
(a)フランチャイジーに契約を更新するオプションを与えず、 または
(b)フランチャイジーに契約延長を認めない場合
は、フランチャイザーが、契約につき交渉や影響を与える行為において誠実に行動していなかったことを意味するものではない。


パート2 - フランチャイズ契約締結前の開示要請

ディビジョン1 –適用範囲

第7条 適用範囲-マスターフランチャイザー
マスターフランチャイザーはサブフランチャイジーとの関係で、このパートの要件に準拠する必要はない。

ディビジョン2 – 情報開示書面

第8条 フランチャイザーは情報開示書面を維持しなければならない

フランチャイジーまたはフランチャイジー予定者に情報を提供する情報開示書面

(1)フランチャイザーは、(3)、(4)、(5)項に準拠してフランチャイズに関連する文書( 「情報開示書面」)を作成する必要がある。
民事罰:300ペナルティユニット。

(2)情報開示書面の目的は、下記のとおり。
(a)フランチャイジー予定者、または下記を希望しているフランチャイジーに与える
(i)フランチャイズ契約の締結。 または
(ii)フランチャイズ契約の更新。 または
(iii)フランチャイズ契約の期間や範囲の拡張・拡張
フランチャイジーが、フランチャイズについての合理的情報に基づいた意思決定を行うためのフランチャイザーからの情報。
(b)フランチャイジーにフランチャイズ事業の運営に重要であるフランチャイザーからの現在の情報を与える。

情報開示書面の内容と形式

(3)情報開示書面中の情報は、次の条件を満たす必要がある。
(a)以下に準拠する
(i)付属書類1の形式と順序で設定すること。
(ii)付属書類1の見出しと番号付けを使用すること。
(iii)該当する場合には「最新情報」という見出しの下に追加の情報を含むこと。
(b)または以下に準拠する。

(ⅰ)特定の項目が該当する場合、付属書類1のそれらの項目のための見出しと番号を使用すること。
(ⅱ)特定の項目がない場合、付属書類1のこれらの項目について見出しと番号を設定した付属書類を含める。

(4)情報開示書面は、フランチャイザー、またはフランチャイザーの取締役、役員または代理人によって署名されなければならない。

(5)情報開示書面では、付属書類1の項目に基づき、各項目が始まるページ番号を示す、目次を有している必要がある。 情報開示書面に添付書類がある場合には、それらの書類の目次も作成しなければならない。

情報開示書面の維持

(6)フランチャイズ契約締結後、フランチャイザーは、各事業年度の終了後4ヶ月以内に情報開示書面を更新しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

(7)ただし、フランチャイザーは、以下の場合には会計年度の終了後に情報開示書面を更新する必要はない。
(a)フランチャイザーが、1年間にフランチャイズ契約を締結せず、または契約を締結したのが1回である場合。 そして
(b)フランチャイザーが、フランチャイザーが会社である場合にはその取締役が、次の会計年度では、別のフランチャイズ契約を締結することを意図していない場合。
(8)(7)項に関わらず、第16条(1)項が適用される場合には、同条項で要請されているように、フランチャイザーは要請されている会計年度が始まる前に、会計年度末時点のフランチャイズの状況を反映するように情報開示書面を更新しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。


第9条 フランチャイザーのフランチャイジーまたはフランチャイジー予定者に文書を交付する義務

(1)フランチャイザーは下記の書類を
(a)本規則のコピー。 そして
(b)情報開示書面のコピー
(ⅰ)第8条(6)項の下で更新されたもの。 または
(ii)第8条(7)項が適用される場合、情報開示書面のコピーが交付される会計年度の前事業年度の終了時のフランチャイズの状況を反映したものであること。 および
(c)書式に記入されたフランチャイズ契約のコピー

少なくとも下記の14日前に、フランチャイジー予定者に対して交付しなければならない。

(d)フランチャイズ契約の締結またはフランチャイズ契約を締結するための契約の締結。 または
(e)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトに対して、当該フランチャイズ契約に関する(金銭あるいは、有価物による)返金不可の支払い。

民事罰:300ペナルティユニット。

(2)フランチャイザーまたはフランチャイジーが下記を提案している場合:
(a)フランチャイズ契約の更新。 または
(b)フランチャイズ契約の期間や範囲の延長・拡張。

フランチャイザーは、少なくとも、フランチャイズ契約の更新または延長の14日前までに(1)に記載された各書類(定義は(a)による)をフランチャイジーに交付しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

(3)フランチャイザーは、関連する14日以上の期間内に、下記の変更を行なっても、本条の要件に準拠していると解釈される。
(a)フランチャイジーの要求に応えるものであること。 または
(b)必要な細目を記入すること。 または
(C)住所その他の状況の変化を反映させること。 または
(d)重要でない事項について明確にすること。または
(E)誤りや参照を訂正すること。


第10条 フランチャイジーまたはフランチャイジー予定者がフランチャイズ契約を締結する前にフランチャイザーに助言を与えること

(1)フランチャイザーは、フランチャイザーがフランチャイジーまたはフランチャイジー予定者から、情報開示書面及び本規則を既に受取り、これを読み、これを理解するための合理的機会があった旨をフランチャイジーまたはフランチャイジー予定者が宣言した書面を受領しない限り下記の事項を行なってはならない。
(a)フランチャイズ契約の締結。 または
(b)フランチャイズ契約の更新または譲渡。 または
(c)フランチャイズ契約の期間や範囲の延長・拡張。 または
(d)下記の契約の締結。
(i)フランチャイズ契約を締結するための契約。 または
(ii)フランチャイズ契約を更新または譲渡。 または
(iii)フランチャイズ契約の期間や範囲を延長・拡張。 または
(e)フランチャイズ契約またはフランチャイズ契約を締結するための契約において(金銭あるいは他の有価物を問わず)返金不可の支払いを受けること。

(2) フランチャイズ契約を締結する前に、フランチャイザーは、フランチャイジー予定者から下記を受領している必要がある。
(a)フランチャイジー予定者が、提案されたフランチャイズ契約またはフランチャイズ事業について、下記の者から助言を得たことについて署名した声明書。
(ⅰ)独立した法律助言者。 または
(ⅱ)独立した事業助言者。 または
(ⅲ)独立した会計士。 または

(b)(a)のどの声明書も受領していない場合に、フランチャイジー予定者によって署名された声明書
(i)フランチャイジーが提案されているフランチャイズ契約またはフランチャイズ事業につき同種の助言を得ていること
(ii)フランチャイジーが同種の助言を求められるべきであると言われているが、それを求めないことを決めたこと。

(3)(2)項は
(a)下記には適用されない。
(ⅰ)フランチャイズ契約の更新。 または
(ii)フランチャイズ契約の期間や適用範囲の延長・拡張。 そして
(b)(2)(a)に記載された声明書のいずれかまたは全てについて、フランチャイザーが要求することを妨げない。
(4)本条において、フランチャイジー予定者への言及は、譲受人予定者への言及を含むものとする。


ディビジョン3 - 情報書面

第11条 フランチャイザーがフランチャイジー予定者に情報書面を交付する義務

(1)フランチャイザーは、フランチャイジー予定者に付属書類2に定める情報書面のコピーを交付しなければならない。
(2)情報書面は11サイズのフォントで、せいぜい2ページにとどまるものでなければならない。
(3)情報書面のコピーは、フランチャイジー予定者が正式に申し込むか、またはフランチャイズ事業の獲得に興味を示したら、可能な限り直ちにフランチャイジー予定者に交付されなければならない。
(4)疑義を回避するために、本条は下記には適用されない。
(a)フランチャイズ契約の更新。 または
(b)フランチャイズ契約の期間や範囲の延長・拡張。


パート3 - フランチャイズ契約

ディビジョン1 – 適用範囲

第12条 マスターフランチャイザーに関する適用範囲
マスターフランチャイザーとサブフランチャイジーとの関係には、このパートの要件に準拠する必要はない。


ディビジョン2 - フランチャイザーの義務

サブディビジョンA - 開示義務

第13条  賃貸借契約書等のコピー

賃借権による施設の占有

(1)フランチャイジーが、フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトから、フランチャイズ事業の目的のための施設を賃借する場合は、フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトは、下記をフランチャイジーに交付しなければならない。
(a)下記のいずれか:
(ⅰ)賃貸借契約書のコピー。 または
(ⅱ)賃貸借契約をするための契約書のコピー、および
(b)フランチャイザーまたはアソシエイトが賃貸借契約または賃貸借契約をするための契約の結果として受けることができるあらゆるインセンティブ又は経済的利益の詳細。

民事罰:300ペナルティユニット。

(2)賃貸借契約書または賃貸借契約をするための契約は両当事者によって署名された後、コピー及び詳細文が1か月以内に与えられなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

賃貸借しない場合の施設の占有

(3)フランチャイジーが、賃借することなく、フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトにより賃借された施設を占有している場合、フランチャイザーまたはアソシエイトはフランチャイジーに下記を交付する必要がある。
(a)下記の両方
(ⅰ)フランチャイザーの賃貸借契約書または賃貸借契約をするための契約書、またはアソシエイトの賃貸借契約書または賃貸借契約をするための契約書のコピー、及び
(ii)フランチャイザーまたはアソシエイトが、賃貸借契約または賃貸借契約をするための契約の結果として受け取る権利があるインセンティブ又は経済的利益の詳細、
または
(b)以下のすべて
(ⅰ)フランチャイジーに施設を占有する権利を与える文書の写し。
(ii)占有条件の詳細が記載されたもの。
(iii)フランチャイザーまたはアソシエイトが、フランチャイジーの施設占有権の結果として受けることができる、あらゆるインセンティブ又は経済的利益の詳細。

民事罰:300ペナルティユニット。

(4)コピーおよび詳細は下記の1か月以内に交付されなければならない。
(a)占有の開始、 または
(b)(3)(b)(i)に記載された文書のための文書に、当事者によって署名されたとき。
民事罰:300ペナルティユニット。

インセンティブや経済的利益

(5)本条において、あらゆるインセンティブや経済的利益の詳細には、インセンティブや経済的利益を提供する事業名称を含める必要がある。


第14条  その他の契約書のコピー

(1)フランチャイズ契約において
(a)フランチャイジー、 または
(b)取締役、株主、受益者、所有者またはフランチャイズのパートナー
 が、(2)で言及されている種類の契約を締結することを要求されている場合、フランチャイザーはフランチャイジーにその契約書のコピーを交付しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

(2)フランチャイザーはフランチャイジーに対して、下記の種類の契約書のコピーを交付しなければならない。

(a)賃貸借契約(第13条の適用がある施設の賃貸借を除く)または、分割払い購入契約(or 買取選択権付き賃貸借契約)。
(b)フランチャイジーが、その所有権を得るかその使用を許諾される知的財産権に関する契約書。
(c)担保契約。保証、抵当権設定、保証金、賠償金、貸付、第三者への銀行保証を提供する義務を含む。
(d)機密保持契約。
(e)フランチャイズ契約終了後、ある地域またはある期間、ビジネスを続けないという合意。

(3)契約書は下記とおり交付さなければならない。
(a)その時点で交付可能な場合、フランチャイズ契約書に署名する14日以上前。
(b)その時点が交付不可能な場合には、可能になった時点

第15条  財務諸表のコピー

(1)フランチャイズ契約において、フランチャイジーがマーケティングやその他の共同基金に金銭を支払わなければならないとしている場合 、フランチャイザーは
(a)最後の会計年度の終了後4ヶ月以内に、前会計年度の基金の収入及び支出のすべてについて詳細な年次財務報告書を準備しなければならない。
(b)基金の収入と支出について十分な詳細が含まれ、下記について有意義な情報を与えるために、財務諸表を保証しなければならない。
(ⅰ)収入源、及び
(ii)特に広告やマーケティング支出に関する支出の項目
(c)関連する会計年度の終了後4ヵ月以内に、登録会社の監査の監査報告書を所持しなければならない。
(d)フランチャイジーに下記のとおり交付しなければならない。
(ⅰ)作成後30日以内の報告書のコピー
(ⅱ)求められた場合、作成後30日以内の監査報告書のコピー

民事罰:300ペナルティユニット。

(2)フランチャイザーは、下記の場合には、会計年度に関し(1)(c)に準拠する必要はない。
(a)基金に貢献しているオーストラリアのフランチャイザーのフランチャイジーの75%が、フランチャイザーは会計年度にかかる規制遵守する必要がないことに同意する投票をしたこと、及び
(b)当該契約が、会計年度の終了後3ヶ月以内になされた場合

(3)フランチャイズ契約において、フランチャイジーがマーケティングや他の目的の共同基金に支払をしなければならないとされている場合、基金の管理と監査の合理的な費用は、ファンドから支払われなければならない。

第16条 情報開示書面

(1) フランチャイジーから書面で請求された場合、フランチャイザーはフランチャイジーに情報開示書面に交付しなければならない。
(a)第8条(8)項が適用される場合、要求された日から2か月以内。及び
(b)他の場合には、要求された日から14日以内

民事罰:300ペナルティユニット。

(2)ただし(1)項に基づく請求は、12か月ごとに一度だけ行うことができるものとする。

第17条  重要な関連事実の情報開示

財務の詳細

(1)
(a)下記のいずれか場合
(ⅰ)付属書類1の項目21で言及されている報告書や宣言書が作成されている場合。 または
(ii)その項目で言及されている文書が存在するようになった場合。および
(b)報告書や宣言書が反映されていない場合、またはその文書がいずれも提供されていない場合、第8条(6)項に基づき更新された情報開示書面につき、

フランチャイザーはフランチャイジー予定者に対して、いずれの場合もフランチャイジー予定者がフランチャイザーとフランチャイズ契約を締結する前に、合理的に実現可能な限り早く、報告書、宣言や文書のコピーを交付しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

その他の事項

(2)情報開示書面において、(3)項で規定されている内容に言及していない場合、フランチャイザーは、フランチャイジー又はフランチャイジー予定者に対して、そのことを知ってから合理的期間内に(ただし14日を超えない)、書面で、その事項について報告しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

(3)(2)項で定める事項とは下記のとおり。
(a)下記の過半数の所有権または支配権の変更
(ⅰ)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイト。 または
(ii)フランチャイズシステム

(b)フランチャイザー、フランチャイザーの役員、フランチャイザーのアソシエイト及びフランチャイザーのアソシエイトの役員に対する公的機関による手続、刑事訴訟及び民事訴訟での判決や仲裁での決定においてオーストラリアから下記のいずれかの主張をされていること
(ⅰ)フランチャイズ契約の違反
(ⅱ)取引慣行法の違反
(ⅲ) 会社法2001の違反
(ⅳ)非良心的行為
(v)不祥事
(vi)不正行為の罪;

(c)従業員の不当解雇以外のフランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトに対する、下記に基づく判決
(ⅰ) 独立契約行為法2006のパート3
(ii)勤務関係や独立の請負業者を規制する州または地域の法律。

(d)フランチャイザー、フランチャイザーの取締役、フランチャイザーのアソシエイトまたはアソシエイトの取締役に対する、オーストラリアにある当該フランチャイザーの、少なくともその10%または10人のフランチャイジーによるオーストラリアにおける民事訴訟(どちらか少ない方)

(e)オーストラリアのフランチャイザー又はそのアソシエイトに対して下された、28日以内に取り消されなかった判決であって、少なくとも

(ⅰ)小規模専有会社 に対しては $ 100,000を超えるもの
(ii)他の会社に対するものとしては $ 1 000 000を超えるもの

(f)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトに対して下された付属書類1の第4項に記載された問題にかかる判決
(g)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトが他の管理下におかれる企業となったこと
(h)フランチャイズシステムにとって問題となり得る知的財産の変更または、その所有権や管理の変更
(i)下記の存在及び内容

(ⅰ) 競争消費者法2010のセクション87Bの下でフランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトによってなされたあらゆる約束。および
(ii)このような約束に関連して、上記セクションの下で、オーストラリアの連邦裁判所によって下されたあらゆる命令。

(4)(3)項(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)について、フランチャイザーはフランチャイジーに以下の事項を報告しなければならない。
(a)手続の当事者の名前  及び
(b)裁判所や法廷の名前。 及び
(c)事件番号、及び
(d)手続の決議の要領。

(5)(3)項(g)の場合は、フランチャイザーはフランチャイジーに、管財人、管理人または清算人の名前と住所を報告しなければならない。

注:この規則の内容は、刑法1914のパートVIICの実務に影響を与えない。(特定の状況下では、過去の有罪判決を開示する必要性から人々救済し、こうした事実を無視するよう要請する規定を含む)。


サブディビジョンB - 通知義務

第18条 期間終了に関する調整

(1) フランチャイズ契約におけるフランチャイザーは、フランチャイジーに対して、下記についてフランチャイザーが意図しているか否かにつき、書面で通知しなければならない。
(a)契約の延長、 または
(b)新しい契約の締結

(2)フランチャイザーの通知は下記のとおりでなければならない。
(a)フランチャイズ契約の契約期間が6か月以上の場合、少なくとも契約期間の終了6ヶ月以上前であること、及び
(b)フランチャイズ契約の契約期間が6か月未満の場合、少なくとも契約期間の終了1か月以上前であること
 
民事罰:300ペナルティユニット

(3)フランチャイザーがフランチャイズ契約を延長することを意図していない場合を除き、フランチャイザーの通知は第16条(2)項に基づいて、フランチャイジーが第16条による情報開示書面を要求することができる旨を含めなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

サブディビジョンC – 記録保存義務

第19条 特定の情報や文書の保管義務

(1)この規則において、フランチャイジー又はフランチャイジー予定者に対して、フランチャイザーに書面を提出することを要求し、または許可している場合、フランチャイザーはその書面またはそのコピーを保存しなければならない。

(2)フランチャイザーが
(a)フランチャイザーの情報開示書面において宣言や主張をした場合、及び
(b)その宣言や主張を立証するためにある書面を根拠とした場合

その書面を保管する義務がある。
(3)フランチャイザーは、作成後、少なくとも6年間は、当該書面を保存する義務がある。


ディビジョン3- フランチャイズ契約の条件

第20条 責任免除条項の禁止等

(1)フランチャイズ契約においては、フランチャイジーに下記の内容について署名を求めてはならない。
(a)フランチャイジーに対するフランチャイザーの全般的な責任免除
(b)フランチャイザーによって行われた口頭または書面による説明に関する免責
注:参照第3条(4)、(5)

(2)ただし、第(1)項は、フランチャイジーに対し、フランチャイズ契約締結後のフランチャイザーに対する主張の解決を妨げるものではない。

(3)第(1)項に反する、一般的な責任免除または免責条項は、仮にフランチャイジーが 署名した場合でも無効である。


第21条 紛争を解決する際の管轄 条項

(1)フランチャイズ契約は、下記の条項が含まれている場合がある
(a)契約当事者が契約に基づく紛争に関連した法的手続を希望する場合、当該フランチャイズ事業の本拠地である州または地域で行なうことが要求される。または
(b)契約当事者が調停の合意の下での紛争の解決を希望した場合は、フランチャイズビジネ事業の本拠地である州または地域で実施される調停である必要がある。

(2)フランチャイズ契約は、下記の条項を含めることができない。
(a)契約に基づく紛争に関連した法的手続について、契約当事者に下記を要求するもの。
(i)当該フランチャイズ事業の本拠地以外の州または地域で行なうこと。
(ii)オーストラリア国外の管轄を定めるもの
(b)契約に基づく紛争の調停を要請するものであって
(i)フランチャイズ事業の本拠地以外の州または地域で行なうこと
(ii)オーストラリア国外の管轄を定めるもの
注:参照3条(4)、(5)。

(3)フランチャイズ契約に(2)項違反の内容が含まれている場合、当該条項は無効である。

第22条 紛争解決の費用

フランチャイズ契約において、フランチャイザー側の原因で契約に関する紛争が生じた場合、紛争解決に要する費用をフランチャイジーに負担させる条項を定めてはならない。定めたとしても無効である。

注:参照第3条(4)及び(5)。


第23条 フランチャイズ契約が延長されない場合の取引制限の効果

(1)フランチャイズ契約において、契約終了後の取引制限条項は、下記の場合には無効である。
(a)フランチャイジーがフランチャイザーに、下記と実質的に同じ条件で契約を延長しようとして、書面による通知をした場合
(ⅰ)フランチャイザーの現在のフランチャイズ契約に含まれているもの。 及び
(ⅱ)他のフランチャイジーまたはフランチャイジー予定者に適用し、または適用されるであろうもの。 及び
(b)当該フランチャイジーが、契約または関連契約に違反していない場合。及び

(c)契約期間中、当該フランチャイジーがフランチャイザーとの知的財産契約または機密保持契約を侵害していなかったこと、 及び
(d)フランチャイザーが、契約を延長しなかったこと。 及び
(e)下記のいずれか
(i)フランチャイジーが、契約が延長されなかったことによる営業権の補償を主張したが、与えられた補償は、単に名目的なもので実質的な営業権の補償を提供していない場合または
(ⅱ)契約において、契約期間が延長されなかった場合には、フランチャイジーが営業権の補償を請求することはできないこととされている場合。
(2)第(1)項は、フランチャイズ契約に組み込まれている取引制限条項に関しても適用される。
(a)別の文書を参照する場合、 または
(b)他の文書が物理的に添付されている場合。
注:参照節3(4)及び(5)。

ディビジョン4 - フランチャイズ契約の譲渡

第24条 譲渡に関するフランチャイザーの同意要求
(1)何人も、フランチャイズ契約の譲渡についてフランチャイザーに同意するよう、書面で、要求することができる。
(2)要求は、フランチャイザーが合理的に必要とし、情報に基づいた意思決定を行うために与えられることを期待するすべての情報を添付しなければならない。

(3)フランチャイザーが情報に基づいた意思決定を行うために、さらに情報を必要とする場合、フランチャイザーは、書面で、その意思決定に関連する特定の情報の提供を、その者に要求することができる。

第25条 譲渡に関するフランチャイザーの同意

同意を与えること
(1)フランチャイザーは、第24条に基づいてフランチャイズ契約の譲渡への同意を求めた者に書面にて下記について助言しなければならない。
(a)同意が与えられているかどうか、そうでない場合、その理由を。及び
(b)同意が与えられている場合、フランチャイザーの同意が1つまたは複数の既成の条件に従うものであるかどうか。
(2)フランチャイザーは、正当な理由なくフランチャイズ契約の譲渡への同意を保留してはならない。
(3)フランチャイザーは、下記の状況においてはフランチャイズ契約の譲渡への同意を合理的に保留することができる。
(a)譲受人候補者が、当該フランチャイズ契約の下で、なすべき金融債務を履行できる可能性が低い場合。

(b)譲受人候補者が、フランチャイズ契約の譲渡のためのフランチャイズ契約の合理的な要件を満たしていない場合。
(c)譲受人候補者が、フランチャイザーの選択基準を満たしていない場合。
(d)譲受人候補者が、フランチャイズ契約に基づくフランチャイジーの義務を遵守することに、書面で同意していない場合。
(e)フランチャイジーが、フランチャイザーになすべき支払いを行わず、合理的な引当金を支払っていない場合。
(f)フランチャイジーが、フランチャイズ契約の違反を是正していない場合。
(g)フランチャイザーが、譲受人候補者から、当該譲受人が情報開示書面とこの規則を受領し、これを読み、理解するための合理的な機会があったことについての宣言書面を受領していない場合。
(a)から(g)までは、フランチャイザーの同意を合理的に保留することができるような状況を限定するものではない。

みなし同意

(4)フランチャイザーは、フランチャイザーが下記の42日以内にフランチャイズ契約の譲渡に同意しないことを、書面で申し出人に通知していない場合
(a)要求が行われた日。及び
(b)フランチャイザーがさらなる情報を求めた場合、最後の情報がフランチャイザーに提供された日。

その場合
(c)フランチャイザーは、同意を与えているとみなされる。 及び
(d)その同意は(5)項によって取り消すことはできない。

同意の取り消し

(5)同意をした日から14日以内に、フランチャイザーは、フランチャイザーの同意を取り消したこと及び同意取り消しの理由を、書面で、申し出人に通知することによって、それを取り消すことができる。
(6)フランチャイザーは、不当にフランチャイザーの同意を取り消すことはできない。   ただし、フランチャイザーは、(3)項に定める要件により合理的に同意を取り消すことができる。

定義

(7)この条項では

譲受人はフランチャイズ契約の譲渡によりフランチャイズ事業を買収しようとするフランチャイジーを意味する。



ディビジョン5 - フランチャイズ契約の終了

第26条 契約解除-クーリングオフ期間
(1)フランチャイジーは、(フランチャイズ契約またはフランチャイズ契約を締結するための合意)契約について、下記のいずれか早いものの7日以内に契約を解除することができる。
(a)契約締結
(b)契約に基づく(金銭や有価物の)支払い

(2)第(1)項は下記には適用されない。
(a)既存のフランチャイズ契約の譲渡または更新
(b)既存のフランチャイズ契約の期間や範囲の延長や拡張

(3)フランチャイジーが第(1)項により契約を解除した場合、フランチャイザーは、14日以内に、契約に基づいてフランチャイザーに対してフランチャイジーによって行われた(金銭か他の有価物に関わらず)すべての支払いを返還しなければならない。

 民事罰:300ペナルティユニット。

(4)ただし、フランチャイザーは、費用や計算方法が契約書に定められている場合、第(3)項に基づいて返済する金額からフランチャイザーの合理的な費用を控除することができる。

第27条 フランチャイジーの違反行為を理由とする契約解除

(1)本条は、下記の場合に適用される。
(a)フランチャイジーがフランチャイズ契約に違反した場合。
(b)フランチャイザーが、フランチャイズ契約を終了することを申し入れている場合。

(2)フランチャイザーは、契約解除のためには下記を行なう義務がある。
(a)フランチャイジーに対して、契約違反を理由とする契約解除の申し出をする旨の合理的な通知を、書面で、与えること
(b)フランチャイジーに対して、違反を是正するためにフランチャイザーが求めることを通知すること
(c)フランチャイジーが違反行為を是正するために合理的な期限を定めること
  民事罰:300ペナルティユニット。
(3)第(2)項(c)の期間は30日以上である必要はない。
(4)違反行為が第(2)項の(b)及び(c)に従い是正された場合には、フランチャイザーは契約違反を理由としてフランチャイズ契約を解除することができない。
(5)第4部(紛争の解決)はこの条項の契約解除に起因する紛争について適用される。

第28条 契約解除-フランチャイジーに契約違反がない場合

(1)本条は、次の場合に適用される。
(a)フランチャイザーがフランチャイズ契約を終了させる場合であって
(ⅰ)合意によること、及び
(ii)契約有効期限が切れる前であること、 及び
(iii)フランチャイジーの同意がない場合、及び
(b)フランチャイジーが契約に違反していない場合

(2)第(1)項(a)(iii)において、フランチャイザーがフランチャイジーの同意なくフランチャイズ契約を終了することができるとするフランチャイズ契約条項は、フランチャイジーの同意があるとはみなされない。
(3)フランチャイズ契約を終了する前に、フランチャイザーはフランチャイジーに、合理的な契約解除の申し入れ及びその理由を書面で通知しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

(4)パート4(紛争の解決)はこの条項の契約解除に起因する紛争について適用される。

第29条 特別な事情 による契約の終了

(1)第27条及び第28条に関わらず、契約においてフランチャイザーに、下記の場合に契約を終了させる権利を与える場合は、いずれかの条項の適用もなく、フランチャイズ契約を終了することができる。
(a)もはやフランチャイジーがフランチャイズ事業を続けていくために保持しなければならない許可を有しない場合、 または
(b)フランチャイジーが破産、管理下での支払い不能、他の監督下にある企業体となった場合、 または
(c)法人であるフランチャイジーがオーストラリア証券投資委員会により登録を抹消された場合。 または
(d)自主的にフランチャイズ事業やフランチャイズ関係を放棄した場合、 または
(e)重大な犯罪で有罪判決を受けた場合。 または
(f)公衆衛生や安全を危険にさらすような方法でフランチャイズ事業を行った場合、または
(g)フランチャイズ事業の運営に関連して不正に行動した場合
(2)第27条及び第28条に関わらず、フランチャイザーとフランチャイジーが、相互に合意の解約に同意した場合フランチャイザーは、いずれかの条項に従わずフランチャイズ契約を終了することができる。

注意:本条項は解約権に格上げするものではない。そのような権利は、フランチャイズ契約自体になければならない。

ディビジョン6 - その他

第30条 資本的支出

(1)フランチャイザーは、フランチャイジーに対して、フランチャイズ契約の期間中に、フランチャイズ事業に関する重大な資本的支出を要求してはならない。
(2)第(1)項における重大な資本的支出からは下記は除外される。
(a)下記の前に情報開示書面によってフランチャイジーに開示されている支出
(ⅰ)契約締結または契約更新の前、 または
(ⅱ)契約期間や範囲の延長/拡張の前
(b)当該支出が全てまたは大半のフランチャイジーが負担する場合に、それらのフランチャイジーの過半数で承認され場合
(c)フランチャイジーか法的義務を遵守するために負担する支出。
(d)当該フランチャイジーが合意した支出。
(e)フランチャイザーがフランチャイズ事業において必要と考える設備投資であって、影響を受ける各フランチャイジーに対して、下記の宣言書面によって正当化されたもの
(ⅰ)投資を行うための根拠。
(ⅱ)必要な資本支出の額。
(iii)予想される成果と利益
(iv)投資を行うことに関連する予想されるリスク

第31条 マーケティング料及び広告費用
(1)フランチャイザーは、フランチャイジーの負担によるマーケティング料や広告料のための個別の銀行口座を維持しなければならない。
(2)フランチャイザーが、フランチャイズビジネスの1つ以上の事業体を運営する場合、当該フランチャイザーは、他のフランチャイジーと同様に、各事業体(ユニット)に代わってマーケティング料や広告料を支払わなければならない。
(3)フランチャイズ契約のいかなる条項にもかかわらず、マーケティング料や広告料は下記の用途のみに使用することができる。
(a)下記の費用であること
(i)情報開示書面の項目15.1(f)の下でのフランチャイジーに開示されているものであること
(ii)正当なマーケティングや広告宣伝費であること、または
(iii)フランチャイジーの大半が合意していること、または
(b)マーケティング資金を管理し、監査するための合理的な費用を支払うこと

第32条 元フランチャイジーの詳細の開示
(1)元フランチャイジーは、フランチャイザーに対して、元フランチャイジーの詳細をフランチャイジー予定者に開示しないよう書面で要求することができる。
(2)上記の要求がされた場合、フランチャイザーは、フランチャイジー予定者に元フランチャイジーの詳細を開示してはならない。
(3)フランチャイザーは、元フランチャイジーに対し、上記要求をするように、あるいはしないように影響を与える行動をしてはならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

第33条 フランチャイジー及びフランチャジー予定者の協会

 フランチャイザーは、下記を制限、または損なう行為を行ってはならない。
(a)フランチャイジーまたはフランチャイジー予定者の協会を形成する自由、または
(b)フランチャイジーまたはフランチャイジー予定者が、合法的な目的のために他のフランチャイジーまたはフランチャイジー予定者と協働する能力

民事罰:300ペナルティユニット。

パート4 - 紛争の解決

ディビジョン1 - 全般

第34条  内部苦情を取り扱う手続き

フランチャイズ契約において、このパートのディビジョン2に準拠した苦情の処理手続きを備えなければならない。

第 35条 紛争の解決

フランチャイズ契約の当事者(申立人)が他の契約当事者との紛争がある場合

(a)契約における苦情処理手続きに従って対処することができる。 または
(b)このパート(部)のディビジョン3に定める手順に従って対処することができる。

第36条 当事者が紛争を解決しようとするとき
(1)当該当事者が和解の方法をもって紛争の解決を申し入れる場合、当事者は、以下のいずれかを含む方法によって紛争解決がはかられる、
(a)合理的な時期に行われる会議に出席し、参加する。
(b)紛争期間中、フランチャイズ事業の評判にダメージを与える効果がある、不良品、サービス、またはサポートを提供することを含め、そうした行動を取りらないこと
(c)紛争期間中、フランチャイズ事業の評判にダメージを与える効果がある、商品供給拒否、サービスやサポートの不提供など、行動拒否を行わないこと。
(d)紛争解決のための調停手続きが進行している場合
(ⅰ)手続きの開始時において、当事者が当該手続きを通じて成し遂げようとしていることについて当事者の意図を明確にし、及び
(ii)手続き中及び終了後に適用される機密保持に関連する義務を順守すること。
(2)疑義を避けるために、紛争解決のために調停手続きが進行している場合、第(1)項は、調停が本規則またはその他の規則下で行われているかどうか関わらず、適用される。


第37条 手続きに影響を受けない権利

このパートは、フランチャイズ契約の下であるか他の下であるかにかかわらず、法的手続きをとるフランチャイズ契約の当事者の権利に影響を与えない。

ディビジョン2 - 内部苦情処理手続き

第38条 紛争の通知
(1)申立人は、相手方に対し、下記につき書面で通知しなければならない。
(a)紛争の性質、及び
(b)申立人が望む結果、及び
(c)申立人が、紛争が解決するだろうと考える行為
(2)当事者は、その後の紛争を解決する方法について合意するよう努めなければならない。
(3)当事者が3週間以内に紛争を解決する方法につき合意することができない場合、いずれかの当事者が下記に基づき、当該問題につき、調停者に調停を打診することができる。
(a)フランチャイズ契約、 または
(b)本規則。
(4)当事者が調停者となるべき人について合意できない場合、いずれかの当事者は、調停者を任命する調停助言者に依頼することができる。

注:調停助言者は大臣に任命される。第44条参照。

第39条 調停
(1)第(2)項に従うことを条件に、紛争のために任命された調停者は、調停のために時間と場所を決定することができる。
(2)調停は、オーストラリアで行われなければならない。
(3)当事者は調停に出席しなければならない。
 民事罰:300ペナルティユニット。

(4)第(3)項において、当事者は、当事者が当事者に代わって紛争を解決するために合意を締結しうる権限を有する者に代理されている場合には、調停に出席しているものとみなされる。
(5)当事者は、紛争を解決しようと努力しなければならない。
注意:当事者は紛争を解決しようとしているとみなされる場合、第36条参照。
(6)調停が開始されたのち、調停者は、28日以内に、その事実を、調停助言者に助言しなければならない。

ディビジョン3 - 苦情の取り扱い規則

サブディビジョンA - 紛争の通知

第40条 紛争の通知

(1)申立人は、相手方に対し、下記につき書面で通知しなければならない。
(a)紛争の性質、及び
(b)申立人が望む結果、及び
(c)申立人が、紛争が解決するだろうと考える行為
(2)当事者は、その後の紛争を解決する方法について合意するよう努めなければならない。

(3)当事者が3週間以内に紛争を解決する方法につき合意することができない場合、いずれかの当事者が下記に基づき、当該問題につき、調停者に調停を打診することができる。
(a)フランチャイズ契約、または
(b)本規則。

(4)当事者が調停者となるべき人について合意できない場合、いずれかの当事者は、調停者を任命する調停助言者に依頼することができる。
注:調停助言者は大臣に任命される。第44条参照。

サブディビジョンB-調停

第41条 調停
(1)第(2)項に従うことを条件に、紛争のために任命された調停者は、調停のために時間と場所を決定することができる。
(2)調停は、オーストラリアで行われなければならない。
(3)当事者は調停に出席しなければならない。

民事罰:300ペナルティユニット。

(4)第(3)項において、当事者は、当事者が当事者に代わって紛争を解決するために合意を締結しうる権限を有する者に代理されている場合には、調停に出席されているものとみなされる。
(5)当事者は、紛争を解決しようと努めなければならない。

注意:当事者は紛争を解決しようとしているとみなされる場合、第36条を参照。
(6)調停が開始された後、調停者は、28日以内に、その事実を、調停助言者に助言しなければならない。

第 42条 調停の終了
(1)本条項は、下記の場合に紛争調停に適用される。
(a)調停開始日から少なくとも30日が経過していること、及び
(b)紛争が未だ解決されていない場合。
(2)調停者は紛争の解決が差し迫っていない限り、いつでも調停を終了することができる。
(3)ただし、いずれかの当事者が調停の終了を要求した場合、調停者は調停を終了させなければならない。
(4)調停者が本条項に基づき、調停を終了させた場合、調停者は、下記事項が記載された証明書を発行しなければならない。

(a)当事者の名前、及び
(b)紛争の性質、及び
(c)調停が終了したこと、及び
(d)紛争が解決されていないこと
(5)調停者は下記の者に対し証明書のコピーを発行しなければならない。
(a)調停助言者、及び。
(b)紛争各当事者

第43条 調停費用
(1)当事者は、別段の合意をしない限り、このサブディビジョンに基づき調停の費用について等しく負担を負う。
(2)当事者は調停に出席するため各自の費用を負担しなければならない。
(3)本条項において

 このサブディビジョンに基づく調停費用には、以下のものが含まれる。
(a)調停者の費用
(b)部屋の使用料
(c)(専門家の報告書を含む)調停の進行に必要であるとして、両当事者が合意した任意の追加費用。


ディビジョン4 - 調停任命

第 44条 調停助言者

大臣はこのパートにおける調停助言者を任命する。

注意:旧フランチャイズ行為規則の下で任命された調停助言者が継続することにつき、本書面のセクション6を参照。

第45条 調停者

下記の14日以内に
(a)第38条(3)、40(3)が適用され、 または
(b)第38条(4)、40(4)の要請があった場合、
 調停助言者は紛争のための調停者を任命しなければならない。



付属書類1 - フランチャイジーまたはフランチャイジー予定者のための情報開示書面

注:副条項8(3)参照。

1 表紙

1.1 表紙について

(a)太字の大文字で
フランチャイジーまたはフランチャイジー予定者のための開示書面、とする。 及び

(b)フランチャイザーの
(ⅰ)名称、及び
(ⅱ)事業の住所と電話番号、及び
(iii)ABN、ACNまたはARBN(または外国のフランチャイザーである場合外国の同等のもの)。 そして
(c)フランチャイザー、またはその取締役、役員またはフランチャイザーから権限を与えられた代理人の署名、及び
(d)情報開示書面の作成日時、及び。
(e)次の記述
本開示書面では、フランチャイズ契約を締結するかどうかについて確かな情報に基づいた意思決定を行うために必要な情報の一部が含まれています。これは、あなたが受け取った情報書面と一緒に読まれるべきです。

フランチャイズ契約を締結することは容易ではない事業です。フランチャイズは、あらゆる事業と同様に、フランチャイズ(またはフランチャイザー)がフランチャイズ期間中に失敗する可能性がある事業です。これは、フランチャイジーに影響を与える可能性があります。

フランチャイズ契約は、あなたがそれに署名した場合、合法的にあなたを拘束することになります。

あなたがこの契約を締結する前に、あなたは14日間の待機期間を受けることができます。

これが(フランチャイズ契約の譲渡や更新ではなく、期間や範囲の延長・拡張でもなく)新しいフランチャイズ契約である場合、あなたには契約書に署名した後7日間の「クーリングオフ」期間の権利があり、その期間中にあなたは契約を終了させることができます。

あなたがクーリングオフ期間中に契約を終了することを決定した場合、フランチャイザーは、14日以内に、(金銭あるいは、他の有価物であるかに関わらず)その契約に基づきフランチャイザーに対してあなたによって行われたすべての支払いを返還しなければなりません。ただし、費用や計算方式が、契約に定められている場合は、フランチャイザーは、これに従って、この金額からフランチャイザーの合理的な費用を控除することができます。

あなたは時間をかけ、慎重にすべての文書を読み、他のフランチャイジーに相談し、フランチャイズ事業で要求されるご自身の財源や能力を評価して下さい。

あなたはフランチャイズやフランチャイズの事業について、あなた自身が調査を行う必要があります。

あなたはフランチャイズ契約に署名する前に、独立した法律や会計、ビジネスの助言をもらう必要があります。

利益とキャッシュフローのための事業計画や予測を準備することは多くの場合、賢明です。

とりわけ、あなたがこれまで事業をしたことがない場合には、教育コースを受けることを検討すべきです。

2 フランチャイザーの詳細

2.1フランチャイザーの
(a)名称、及び
(b)オーストラリアにおける登録された住所及び主たる営業所の住所、複数ある場合はそれらの住所、及び
(c)ABN、ACNまたはARBN(または外国のフランチャイザーである場合外国の同等のもの、)。

2.2当該フランチャイズに関連してオーストラリアで当該フランチャイザーが事業を行う名称

2.3フランチャイズ下で営業する事業の種類の説明。

2.4フランチャイズまたはフランチャイズシステムがオーストラリアで営業している年数

2.5名称、ABN、ACNまたはARBN、登録事務所および法人(もしあれば)である各フランチャイザーのアソシエイトの主たる営業所の住所。

2.6(もしあれば)法人ではない各フランチャイザーのアソシエイトの名称と住所、また該当する場合は各アソシエイトのABNまたはARBN。

2.7 下記の関係の説明
(a)項目2.5で言及した各アソシエイトとフランチャイザー、 及び
(b)項目2.6で言及した各アソシエイトとフランチャイザー。
及び、フランチャイズシステム及びフランチャイズとの関係の関連性。

2.8フランチャイザーの各役員の氏名、地位、及び資格(もしあれば)について。

3 事業経験

3.1項目2.8で言及した各人の、関連する事業について下記の経験期間を含む過去10年間の経験の要約
(a)フランチャイズシステムでの勤務経験、及び
(b)フランチャイザーのために勤務した経験

3.2 下記の経験期間を含む過去10年間の当該フランチャイザーの関連する事業経験の要約
(a)次の経験期間
(I)実質的にそのフランチャイズと同等の事業の運営、及び
(ii)実質的にそのフランチャイズと同等の事業を他のフランチャイズに提供したこと、及び
(b)当該フランチャイザーが、他の企業のためのフランチャイズを提供したかどうか、もしその場合
(ⅰ)かかる各事業の説明、及び
(ii)フランチャイザーが、かかる各ビジネスのためにどれだけの期間フランチャイズを提供したのか。

4 訴訟

4.1 下記の詳細
(a)フランチャイズに関連する、フランチャイザーまたはフランチャイザーの役員、フランチャイザーのアソシエイトないしその役員に対する、公的機関による刑事訴訟、民事訴訟、仲裁の現在進行中の手続きにおいて、オーストラリアによって下記を主張されているもの
(ⅰ)フランチャイズ契約の違反、 または
(ⅱ)取引慣行法の違反、 または
(ⅲ) 会社法2001の違反、 または
(ⅳ)非良心的行為、または
(v)不祥事、 または
(vi)不正行為の罪、及び
(b)フランチャイザー又はフランチャイザーの役員、フランチャイザーのアソシエイトないしその役員に対する手続であって、従業員の不当解雇以外の下記によるもの
(ⅰ) 独立契約法2006年、第12部門 または
(ii)職場関係や請負業者を規制する州または地域の法律。

4.2フランチャイザー、フランチャイザーの役員、フランチャイザーのアソシエイトないしその役員に関する下記経歴。

(a)過去10年間に、重大な犯罪で有罪判決を受け、またはオーストラリア国外で同等の罪を受けたか否か、 または
(b)過去5年間に、項目4.1(a)で言及しているものにつき、民事訴訟の最終判決を受けたか否か、 または
(c)過去10年間に、オーストラリアあるいは他の場所において、破産、管理下における支払不能、外部的に管理される会社となったこと

4.3 項目4.1および4.2について下記の詳細(関連するもの)
(a)手続の当事者の名前
(b)裁判所、法廷や仲裁人の名前。
(c)事件番号、
(d)手続の一般的性質
(e 手続きの現在の状況。
(f)2010年競争消費者法第87Bの下での事業または命令の日付及び内容。
(g)査定されたまたは課された違約金や損害。
(h)破産した、管理下で支払不能または外部から管理された者の名前。
(ⅰ)破産の期間、管理下での支払不能ないし外部から管理された期間。

5 エージェントへの支払い

5.1フランチャイジーの紹介や募集に関連してフランチャイザーの役員、取締役または従業員ではない人に、フランチャイザーは、金額を支払うか、または対価的配慮をする必要のある契約においてはその者の名前 。

6 既存のフランチャイズ

6.1 州、地域または地域ごとに整理される
(a)既存のフランチャイズ事業の数、及び
(b)既存のフランチャイジーの数、及び
(c)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエエイトによって所有または運営される、オーストラリアにおいて実質的にフランチャイズビジネスと同じである事業の数

6.2 既存の各フランチャイジーについて
(a)営業所住所、ただしフランチャイジーの自宅でない場合、 及び
(b)営業用電話番号、及び
(c)フランチャイジーがフランチャイズ事業を開始した年

6.3 ただし、50以上のフランチャイズがある場合には、フランチャイザーは、フランチャイズが営業している州、地域、地域や首都圏のすべてのフランチャイジーのための項目6.2に基づく詳細を与えることができる。

6.4 過去3会計年度のそれぞれについて、次の事項につき、事項が発生したフランチャイズ事業の数
(a)フランチャイズの譲渡
(b)フランチャイズ事業の営業停止
(c)フランチャイザーによるフランチャイズ契約解除
(d)フランチャジーによるフランチャイズ契約解除
(e)延長されなかったフランチャイズ契約
(f)フランチャイザーによって買い戻されたフランチャイズ事業
(g)契約が終了し、フランチャイザーに買収された、フランチャイズ契約

注:複数の項目に適用される場合、事項は複数回カウントされてもよい。

6.5 副条項32(1)が適用される場合、フランチャイザーは、項目6.4に記載された各事項につき、情報が入手出来る場合には、各フランチャイジーの名前、場所、連絡先の詳細を提供する必要がある。

7 マスターフランチャイズ

7.1フランチャイザーがサブフランチャイザーである場合には、マスターフランチャイザーの
(a)名前、及び
(b)登録事務所および事業の主たる営業所の住所、及び
(c)ABN、ACNまたはARBN(または該当する場合外国における相当するもの)。

7.2当該フランチャイズに関連してマスターフランチャイザーが行う事業の名前。

7.3 マスターフランチャイザーの各役員につき、名前、地位及び資格(もしあれば)

7.4 過去3会計年度の下記の事項について、それぞれの数
(a)マスターフランチャイザーによって解約されたフランチャイズ契約
(b)フランチャイザーによって解約されたフランチャイズ契約
(c)マスターフランチャイザーによって更新されなかったフランチャイズ契約

注:複数の項目に適用される場合、事項は複数回カウントされてもよい。

7.5 マスターフランチャイズに関する次の詳細
(a)開始日を含むフランチャイズ契約の期間
(b)フランチャイズの商圏(テリトリー)
(c)フランチャイズ契約を更新することができるかどうか
(d)フランチャイズ契約の期間を延長することができるかどうか、可能な場合には、延長に適用する前提条件。

(e)フランチャイズ契約の範囲を拡張することができるかどうか。
(f)フランチャイズ契約を譲渡することができるかどうか、可能な場合には、フランチャイジーが譲受人とのフランチャイズ契約の当事者になることが必要とされているかどうか。
(g)フランチャイズ契約を終了することができる理由。
(h)フランチャイズ契約が終了した場合、サブフランチャイザーのフランチャイズ契約がどのようにフランチャイジーに影響するか。

8 知的財産権

8.1 フランチャイズシステムに使用される、識別するために使用される任意の商標、及び、いかなる特許、デザイン、著作権(知的財産権)について

(a)知的財産権の記述、及び
(b)知的財産権の使用に関連したフランチャイジーの権利と義務の詳細、及び
(c)知的財産権がオーストラリアで登録されているかどうか、もしそうであれば、登録日、登録番号と場所、及び
(d)知的財産の所有権または使用に大幅な影響を与える可能性のある判決や、保留中の手続。下記を含む。
(ⅰ)裁判所名、及び
(ⅱ)問題番号、及び
(iii)請求または判決の要約、及び
(e)知的財産権をフランチャイザーが所有していない場合には、誰がそれを所有しているか、及び
(f)知的財産権に関して、フランチャイザーの使用権または使用許諾権に大幅に影響する契約の詳細。下記を含む。
(ⅰ)契約の当事者、 及び
(ii)あらゆる制限の性質と程度、 及び
(ⅲ)契約の期間、及び

(iv)契約が終了することができる条件

8.2  フランチャイザーは、フランチャイザーが開示する機密情報については項目8.1に準拠するものと解釈される 。
(a)対象物の一般的な説明、及び
(b)フランチャイジーが使用するための条件の要約。

9 フランチャイズの場所または商圏

9.1 当該フランチャイズが下記であるかどうか
(a)排他的または非排他的な商圏かどうか、 または
(b)特定の場所に限定されているか

9.2 フランチャイズの商圏について
(a)他のフランチャイジーが実質的にフランチャイズ事業と同じである事業を所有し、または営業することができるかどうか。
(b)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトが、実質的にフランチャイズ事業と同じである事業を所有し、運営することができるかどうか。
(c)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトが、実質的にフランチャイズと同じであり、他のフランチャイズを設立することができるかどうか。
(d)フランチャイジーは、フランチャイズの商圏外にフランチャイズ事業と実質的に同じ事業を所有し、または運営することができるかどうか。
(e)フランチャイザーが、フランチャイズの商圏または場所を変更することができるかどうか、できる場合には、そのような変更が発生する条件。

10 フランチャイジーへの商品またはサービスの供給

10.1フランチャイジーへの商品やサービスの供給についてのフランチャイザーの要件について
(a)フランチャイジーの在庫のレベルを維持や商品またはサービスの量の受け入れについての要件、及び
(b)他の供給者からのフランチャイジーによる商品又はサービスの取得に関する制限  (c)フランチャイジーが商品やサービスの供給を受けることができる供給者の持株についてのフランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトの所有権
(d)フランチャイザー又はフランチャイザーのアソシエイトからフランチャイジーが商品やサービスを受け入れる義務、及び
(e)フランチャイジーに商品やサービスを供給するフランチャイザーの義務、及び
(f)フランチャイジーがフランチャイズに関する全ての範囲の商品またはサービスを供給される権利が与えられるかどうか、及び
(g)フランチャイジーが商品を返品しうる条件及びその相手方、及び
(H)フランチャイジーが、フランチャイザーから提供されたサービスにつき返金を求めることができる条件及びその相手方、及び
(ⅰ)フランチャイザーが、商品やサービスの範囲を変更しうるかどうか、その場合に、どの程度か
(j)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトが、フランチャイジーへの商品やサービスの供給に関してリベートその他金銭的利益を受けるか否か。リベートや金銭的利益を提供する事業の名称を含む。及び
(k)(j)で言及されているリベートまたは金銭的利益が、フランチャイジーとの間で直接または間接に、フランチャイジーに分配されるか否か。

注:(b)または(c)の下の要請がなされる前に、フランチャイザーは、オーストラリア競争消費者委員会(法のパートVIIを参照)に通知し、又は承認を求めることができる。

11 フランチャイジーによる商品またはサービスの供給

11.1フランチャイジーによる商品またはサービスの供給のためのフランチャイザー要請につき、下記の詳細
(a)フランチャイジーが供給してもよい商品やサービスについての制限、及び
(b)フランチャイジーが商品やサービスを供給することができる相手方の制限、及び
(c)フランチャイジーは、フランチャイズの商品またはサービスの全範囲を供給しなければならないかどうか

注:(a)又は(b)の下での要請の前にフランチャイザーはオーストラリア競争消費者委員会(法のパートVIIを参照)に通知し、承認を求めることができる。

12 商品またはサービス供給-オンライン販売について

12.1フランチャイジーがオンライン販売を利用可能かどうかの詳細
(a)同じ型や同じブランドの製品、または
(b)同じ型のサービス。

12.2フランチャイジーが商品やサービスについてオンライン販売が可能となる場合には、下記の情報
(a)フランチャイズ契約において、それらの商品やサービスをオンライン販売可能にすることについて制限し、あるいは何らかの条件を置くか否か。
(b)商品またはサービスが第三者のウェブサイトを経由して販売しうるか否か、もし可能な場合には、第三者のウェブサイトをフランチャイジーが使用することについてフランチャイザーによって特定の制限や条件があるか否か。
(c)これらの商品やサービスにつき、フランチャイズの商圏外で供給することができる程度。

12.3下記の詳細

(a)フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイト、または
(b)他のフランチャイジー に、商品やサービスのオンライン提供を許諾するか、許諾することを予定しているか否か。

12.4フランチャイザー、フランチャイザーのアソシエイト、他のフランチャイジーによる商品やサービスのオンライン提供が許諾され、あるいは許諾されることが予定されている場合、下記の情報
(a)それらの商品やサービスが、フランチャイズの商圏内で供給することができる程度
(b)第三者のウェブサイト経由で商品やサービスの提供を許諾している場合には、第三者のウェブサイトのドメイン名またはURL

12.5オンライン利用可能な商品やサービスに関連して適用される利益分配の取り決めの詳細及びフランチャイジーに影響を与えるものの詳細、およびこれらの合意が、一方的にフランチャイザーによって変更することができるか否か。

13 場所や商圏

13.1下記に関連する事項の選択に関するフランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトの方針
(a)当該フランチャイズ事業に占有させる場所。
(b)フランチャイズ事業を営業させる商圏

13.2フランチャイズさせる商圏や営業場所が、過去10年間において、以前のフランチャイザーによって許諾されたフランチャイズによってフランチャイズ事業が営業されたか否か、営業されていた場合には、そのフランチャイズ事業の詳細。以前のフランチャイジーが営業を止めた状況を含む。

13.3 項目13.2に記載された詳細は下記の通り提供されなければならない。
(a)別の文書で、 及び
(b)開示資料と共に。

14 その他の支払い

前払

14.1フランチャイザーがフランチャイズ契約締結前に支払を要求する場合には、なぜその支払が必要であるか、その金員がどのように使われるか、誰がその金員を所持することになるのか

14.2返金される条件

設立費用

14.3下記の事項に関して現在の慣行に基づくフランチャイズ事業を開始するための費用の詳細
(a)不動産。型、場所や建物の大きさの情報を含む
(b)設備、備品、その他の固定資産、建設、修繕、建物附属設備及び装飾費
(c)営業を開始するために必要な在庫
(d)敷金、保証金、事業免許、保険、その他前払費用。
(e)フランチャイジーが営業を開始する前に必要とされる運転資金などの追加資金
(f)フランチャイジーの営業開始に伴うその他の支払

14.4 項目14.3について、各支払いの詳細には下記が含まれていなければならない。
(a)支払いの説明、及び
(b)支払いの金額や支払い額を決定するための計算式、及び
(c)支払いがなされる相手、及び
(d)支払期限、及び
(e)返金がなされるか否か、される場合の条件

14.5項目14.4の支払額が簡単に算定できない場合、その上限額と下限額

その他の支払い

14.6フランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトに対する、またはフランチチャイザー又はフランチャイザーのアソシエイトによって集金される他の者への、フランチャイジーによる定期的なあるいは単発的な支払いについては
(a)支払いの説明、及び
(b)支払額または支払額を決定するための計算式、及び
(c)支払いがなされる相手、及び
(d)支払期限、及び
(e)返金がなされるか否か、される場合の条件。

14.7各定期的または単発的な支払いについて、それはフランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイト以外の者へのフランチャイジーによって支払われるもので、フランチャイザーの認識や制御可能なものであるか、フランチャイザーによって合理的に予測可能である場合
(a)支払いの説明、及び
(b)支払額または支払額を決定するための計算式、及び
(c)支払いがなされる相手、及び
(d)支払期限、及び
(e)返金がなされるか否か、される場合の条件

14.8項目14.6または14.7において、支払額が簡単に算定できない場合、その上限額と下限額。

14.9項目14.1、14.3、14.6の2つ以上が支払いに適用される場合、その支払に関連して、これらの項目が要求している情報の提供は一度だけで足りる。

14.10 疑義を避けるために、この項目は重要な資本支出の支払にも適用される。

15マーケティングまたは他の共同基金

15.1マーケティング又は他の共同基金につき、フランチャイザーによって、またはフランチャイザーのために制御又は管理されているもので、フランチャイジーがそれの支払を要求されるものについては、下記の詳細、

(a)基金への支払者の種類(例えばフランチャイジー、フランチャイザー、外部のサプライヤー)。
(b)フランチャイジーがいくら基金に支払わなければならないか及び他のフランチャイジーが異なるレートで支払わなければならないか否か。
(c)誰が基金を制御し、管理するか。
(d)基金が監査されるか否か、される場合には誰によっていつなされるか。
(e)基金の財務諸表についてどのようにフランチャイジーによって検査されるか。
(f)資金が使用されるための費用の種類。
(g)前会計年度の基金の支出。生産、広告、管理、および他の定められた費用についての割合を含む。;
(h)基金の支払がフランチャイザーまたはフランチャイザーのアソシエイトの商品またはサービスに費やされたか否か。もしそうであれば、その商品やサービスの詳細。
(ⅰ)フランチャイザーが、マーケティング、広告やフランチャイジーの事業の促進に、基金の一部を費やす必要があるかどうか。


16ファイナンス

16.1フランチャイザー、その代理人またはフランチャイザーのアソシエイトが、フランチャイズ事業の立ち上げまたは運営のためにフランチャイジーに提案する融資契約の実質的条件。

16.2 項目16.1の融資契約の実質的条件には下記が含まれる。

(a)フランチャイジーがフランチャイズ事業のための借入金でない、最低限の運転資金を提供する必要がある場合にはその要件。
(b)フランチャイジーがフランチャイズ事業に関連して自己資本比率に規定された債務を満たしている必要がある場合にはその要件。


17  フランチャイズ契約の一方的変更

17.1フランチャイザーが一方的に、軽微な変更以外の、(適用される場合には、この規則の施行前の会計年度を含む)過去3会計年度におけるフランチャイズ契約を変更した場合には、その状況。

17.2フランチャイズ契約は、将来的にフランチャイザーが一方的に変更することができる場合には、その状況。


18 フランチャイズ契約の終了時に適用する取り決め

18.1フランチャイズ契約の終了時に適用するように既に決められている取り決め事項についての手続の詳細。

(a)フランチャイジー予定者が下記オプションを持っているかどうか
(i)フランチャイズ契約の更新権、及び
(ⅱ)新たなフランチャイズ契約を締結する権利、及び
(b)フランチャイジー予定者がフランチャイズ契約の期間を延長することができるか否か、可能な場合に、フランチャイザーがフランチャイズ契約の期間を延長するかどうかを決定するために使用する手続、及び
(c)フランチャイジー予定者が、フランチャイズ契約を更新する権利を有する場合、フランチャイジー予定者が契約を更新しない場合に、契約の終了時に補償を受けられるか否か、受けられる場合には、どのように補償額が決定されるか。

(d)フランチャイズ契約を締結した際に購入した売れ残り在庫、マーケティング資料、機器及びその他の資産に適用される契約の詳細。下記を含む。
(ⅰ)フランチャイザーが在庫、マーケティング資料、機器及びその他の資産を買い取るか否か、及び
(ⅱ)フランチャイザーが在庫、マーケティング資料、機器及びその他の資産を買い取る場合には、どのように価格を決定するか。及び
(e)フランチャイジー予定者は、フランチャイズ契約の終了時に事業を売却する権利を持っているかどうか。 及び
(f)フランチャイジー予定者がフランチャイズ契約終了時に事業を売却する権利を有する場合、フランチャイザーが拒絶する優先権を有するか否か、及びどのように市場価値を決定するか、及び
(g)フランチャイザーがフランチャイズ契約の終了時に取り決めを適用するか否かを決定する際に、フランチャイジーがフランチャイズ期間中に行なった重大な資本支出を考慮に入れるか否か。

18.2フランチャイザーが、過去3会計年度において、フランチャイザーとフランチャイジーの間のフランチャイズ契約の終了時、取り決めを適用するか否かを決定する際に、フランチャイジーが行った重大な資本支出を考慮にいれたか否かの詳細。

18.3フランチャイジーがフランチャイズ契約を更新する権利を有していない場合、次の文が、12ポイントのフォントのかつ太字で記載されている必要がある。

フランチャイジーは、フランチャイズ契約を更新する権利を持っていません。 フランチャイズ契約の終了時に、フランチャイザーは、契約期間を延長することはできますが、そうする義務はありません。 フランチャイザーが契約期間を延長しない場合は、フランチャイズ契約は終了し、フランチャイジーは、もはやフランチャイズ事業を営業する権利を有しません。

18.4フランチャイジーがフランチャイズ契約の期間を延長することができない場合は、次の文が、12ポイントのフォントのかつ太字で記載されている必要がある。

フランチャイジーは、フランチャイズ契約の期間を延長することはできません。 フランチャイズ契約の終了時に、フランチャイザー契約期間を延長することはできますが、そうする義務はありません。フランチャイザーが契約期間を延長しない場合は、フランチャイズ契約は終了し、フランチャイジーはもはやフランチャイズ事業を営業する権利を有しません。

18.5フランチャイジーが

(a)フランチャイズ契約を更新する権利を持っていない、及び
(b)フランチャイズ契約の期限を延長する権利を持っていない

 場合、次の文が、12ポイントのフォントのかつ太字で記載されている必要がある。

フランチャイジーは、フランチャイズ契約を更新する権利を有しておらず、フランチャイズ契約の期限を延長することもできません。フランチャイズ契約の終了時に、フランチャイザーは、契約期間を延長することはできますが、そうする義務はありません。 フランチャイザーが契約期間を延長しない場合は、フランチャイズ契約は終了し、フランチャイジーは、もはやフランチャイズ事業を営業する権利を有しません。

19 フランチャイズの譲渡に関するフランチャイズ契約の修正

19.1フランチャイザーが、フランチャイズの譲渡に際し、又はそれ以前に、フランチャイズ契約を修正し(または修正を要求する)かどうか。

20 収益情報

20.1 収益情報は情報開示書面に付属した別の書面で交付してもよい。
20.2 収益情報には、以下の情報が含まれる。
(a)下記の過去の収益データ
(ⅰ)フランチャイズ事業、又は
(ii)フランチャイズシステムにおけるフランチャイズ
(b)(a)(ii)が適用される場合、フランチャイズシステムにおけるフランチャイズとフランチャイズ事業とのあらゆる相違
(c)フランチャイズ事業の予測利益及びその予測の基礎としている想定
(d)過去及び将来の収益の情報につき評価するための他の任意の情報。

20.3 収益情報が与えられていない場合、下記の宣言書

フランチャイザーは、○○【フランチャイズの種類を挿入】についての収益情報を提示しません。
利益は、フランチャイズ事業によって異なります。
フランチャイザーは、個別のフランチャイズの収益を見積もることができません。


20.4収益情報を予測・予想する場合には以下の詳細を含める必要がある。

(a)予測・予想の基礎となっている事実及び想定
(b)予測・予想についてフランチャイザーや編集者によって行なわれた調査や研究の程度
(c)予測・予想が関係する期間
(d)予測・予想の対象期間の選択の説明
(e)予測・予想には減価償却費、フランチャイジーの給与や点検(や?)融資の費用が含まれているか否か。
(f)利息及び税金に関する想定。

21財政に関する詳細

21.1フランチャイザーの支払能力に関する声明
(a)フランチャイザーの状況を反映しているもの
(ⅰ)最後の会計年度の最終時点、又は
(ii)フランチャイザーは、前会計年度の最終時点では存在しなかった場合は、その時点での声明、及び

(b)フランチャイザーの取締役の一人以上によって署名されていること
(c)フランチャイザーが支払期日までにその債務を支払うことができると信じる合理的な根拠があるかどうかについての取締役の意見を提供していること。

21.2会社法2001年のセクション297から295に応じて、または外国の同種の法律が適用されるフランチャイザーにおいてはそれに基づき、完了した最後の2事業年度についての、フランチャイザーが作成した各財務報告書

注:項目21.6から21.4を参照

21.3
(a)フランチャイザーが、 会社法2001によって、又は外国の同種の法律が連結事業体に適用される場合にはそれによって、監査済みの財務報告書を提供することが要求される連結事業体の一部である場合、及び
(b)フランチャイジーがこれらの財務報告書を要求した場合
は、連結事業体によって作成された、完了した最後の2事業年度についての各財務報告書。

注:項目21.6から21.4を参照。

21.4 項目21.2と21.3は下記の場合、適用されない。
(a)項目21.1による声明書が、下記の独立した監査人によって裏付けられている場合
(ⅰ)登録された監査役。 または
(ii)フランチャイザーが外国フランチャイザーである場合、フランチャイザーにおける外国の同等の役職、

声明書が関連する事業年度終了後4ヶ月以内に、 そして
(b)独立した監査報告書のコピーが、項目21.1の声明書に付されていること

21.5フランチャイザーまたは連結事業体(以下、事業体という。)が 2年以上の事業年度を存続していない場合、項目21.2または21.3に記載された財務報告書の代わりに、下記を提供する。
(a)事業体の支払能力に関する法定宣言書
(b)事業体の宣言日現在の事業体の支払能力に関する独立した監査人の報告書。

21.6フランチャイザーまたは連結事業体(以下、事業体という。)が 、完了した最後の2事業年度のいずれかまたは両方において支払不能であった場合は下記を提供する。
(a)事業体が支払不能であった期間の声明
(b)事業体の支払能力に関する法定宣言書
(c)事業体の宣言日現在の事業体の支払能力に関する独立した監査人の報告書。

22 アップデート

22.1第17条の下、提供された情報が情報開示書面の日と本規則の下で情報開示書面が交付された日との間で変更があった全ての情報。

23領収書

23.1情報開示書面の最後のページで
(a)フランチャイジー予定者が情報開示書面を保持することができる旨の記載。 そして
(b)フランチャイジー予定者が情報開示書面の受領を確認することができる形式





付属書類2 - フランチャイジー予定者のための情報声明

注:第11条(1)項参照。



フランチャイジーになることを考えていますか。リスクと便益を熟慮することが重要です


この文書は、フランチャイズ加盟の完全なガイドではなく、単なる出発点に過ぎません。


フランチャイザーから交付される情報開示書面に加えて、あなた自身の独立した法律、会計やビジネスの助言を組み合わせる必要があります。


フランチャイズに入ることは大きな決断です。 あなたがそれをする前に、次のことを行う必要があります。

デューデリジェンスの実施 -これはフランチャイズシステムを精査し、現在および過去のフランチャイジーと話をすることを意味します。
• アドバイスを得る - フランチャイズの専門知識を持つ専門家から法律や会計の、そしてビジネスのアドバイスを得て下さい。
• すべての文書を読む - フランチャイザーから交付される情報開示書面、フランチャイズ契約やその他の文書を慎重に研究して下さい。
• 自分の権利を知る - それが正しい決断であることを確認するために、ご自身で問い合わせて下さい。このフランチャイズにおける行為規則はフランチャイズ関係に関わる人々の権利と義務を定めています。
http //www.comlaw.gov.auで見ることかできます。


また、フランチャイズ契約を締結する意思決定をする前に、フランチャイズやビジネスの専門家コースを取ることを検討する必要があります。フランチャイジー予定者のために利用可能な無料オンライン教育コースがあります。 いくつかのコースはここで見つけることができます http://www.franchise.edu.au/education.html。


フランチャイズとは何ですか?

フランチャイズは事業を行うためのモデルです。 あなたがフランチャイズ契約を締結すると、フランチャイザーは、使用しようとしている名称、ブランドとビジネスシステムを制御します。フランチャイザーはあなたに、通常一定期間、 そのシステムに沿って事業を運営する権利を付与します。あなたが契約の初期期間が終了した後、あなたのフランチャイズビジネスを維持しうる保証はありません。


フランチャイザーとフランチャイジーは 競争消費者法2010の下にあるフランチャイズに関する行為規則を、消費者法や会社法と同様に遵守しなければなりません。フランチャイズに関する行為規則はあなたに特定の情報を提供するために、フランチャイザーのための最低限の要件を定めています。 フランチャイズ契約は、一度締結すれば、フランチャイズ期間中、法的拘束力のある契約です。


フランチャイズ加盟を検討するのはなぜですか?

フランチャイズは、他の事業形態に対して特定の利点を提供することができます。 例えば、フランチャイズは、確立された製品またはサービスと既存の評判やイメージを持つことができます。 また、あなたはフランチャイザーが有する経験や産業に関する知識、企画、マーケティングの技術や営業手順へアクセスすることができます。サポートを提供するフランチャイズシステムもあれば、しないものもあります。


あなたが加盟を検討しているフランチャイズシステムが、あなたの事業経験、技術や要求に合っているかどうか、慎重に検討すべきです。


フランチャイズの関係を理解する

フランチャイズの2つの重要な特徴は、あなたが利用する事業システムをフランチャイザーが既に確立していることと、ほとんどのフランチャイズシステムは、各フランチャイズが一貫性を維持することに依拠しているということです。これらの理由から、フランチャイジーは、通常、フランチャイザーによって設定された営業手順に厳密に従うことが要求されます。その結果、あなたがフランチャイザーの同意なしにフランチャイズシステムに加えることができる変更は制限される場合があります。


あなたは通常、守秘義務に拘束されることになります。これは、あなたがフランチャイズ外でフランチャイザーの知的財産権や業務システムを使用することには制限があることを含みます。


ほとんどの企業は、市場の変化に適合するように調整します。フランチャイザーはいつでもフランチャイズシステムに変更を加える可能性がありますが、すべてのフランチャイジーとそれらを議論する必要はありません。


予想外の出費

フランチャイズでは、すべての事業と同様に、予想外の費用が発生する可能性があります。自然災害やオーストラリアにおける法律の改正や規格の変更などの出来事があなたの事業に影響を与えることがあります。あなたは将来必要とする資金のために働く際には、こうしたことを考慮に入れたビジネスプランを持っている必要があります。また、あなたの状況に相応しい種類の保険を確認してください。


あなたのフランチャイズ契約期間中に、フランチャイザーがコンピュータ・システムを更新したり、新しい制服を導入したり、フランチャイズシステムの外観を変更することを決定する可能性があります。これらの変更は、あなたが契約を締結したときには想定されていない可能性があります。これらの費用は、通常、契約に基づきフランチャイジーによって支払われることになります。


フランチャイズのリスク

フランチャイズは他の企業よりも失敗率が低いことを統計が示唆していますが、フランチャイズはリスクがない訳ではありません。フランチャイズには、あらゆるビジネスと同様に、フランチャイザーまたはフランチャイジーが支払不能になる潜在的可能性があります。 こうしたことが起きた場合、たとえば、あなたがもはやフランチャイズシステムのブランドを使用することはできないかもしれないというように、あなたの事業に重大な影響を与えます。


あなたが考えるべき事のいくつかは以下のとおりです。
• 事業が確立されたる最初の1年間あるいは2年間のために、あなたはどのくらいの 運転資金 や追加資金が必要か。
• 製品やサービスに対する消費者の需要は、すべての地域で同じではなく 、またフランチャイズシステムは、すべての地域では成功しないかもしれません。
• フランチャイジーとして、あなたは 排他的商圏を 持っていないかもしれません 。
• あなたのフランチャイザーが、 オンラインであなたと競合する能力を持っている可能性があります。
• フランチャイジーとして、あなたは あなたがどこかでより低い価格でそれらの製品を購入することができると信じていても 、あなたが事業の運営に必要な製品を購入する場所についての選択肢は十分には得られないかもしれませせん。
• フランチャイジーに 契約違反行為がない場合にも、契約書上、フランチャイザーが契約の解約を可能としているかもしれません。
• ある場所は他の事業の方がより向いているかもしれません (すなわちメインストリートとショッピングセンターを検討する)
• 経済には、浮き沈みがあります。
• その事業は単なる流行で、それは時の試練に耐えうるか否か。

当初の契約期間が終わった後、あなたは契約を自動的に更新する権利を有していないかもしれません。 あなたは契約の終了時に何が起こるかを考える必要があります。
• あなたは契約期間中に支出を回収し、利益を上げることができるのだろうか?
• フランチャイズ契約の更新にあたり、あなたの権利と義務は何か?
• あなたの事業を売却することについてのルールは何か?
• あなたが同様の事業を始めたいと考えた場合に、あなたには何か制限があるか。



オーストラリア競争消費者委員会 (ACCC)は、フランチャイズ行為規則を管理し、施行します。 例えば、ACCCは、供給契約はフランチャイズの関係でどのように機能するかについての情報を提供することができます。


さらに詳しい情報

フランチャイズに関するさらなる情報は下記で見つけることができます。 http://www.accc.gov.auまたは1300 302 021にACCC中小企業ヘルプラインを呼び出すことによって。

2016年07月28日

オーストラリアにおけるフランチャイジー予定者への事前教育

オーストラリアにおけるフランチャイズ規制当局は、オーストラリア競争消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission)である。ACCC(エイトリプルシー)と略称される。ACCCはフランチャイジーやフランチャイジー予定者への教育に力を入れており、グリフィス大学と提携して、無料の講義形式の教育用動画を作っており、ACCCのホームページにリンクされていて、誰でも閲覧可能となっている。7日間のクーリングオフ制度や事前開示規制を持っているオーストラリアにおいても、これだけの事前教育が必要であると考えられているものである。いまだ十分な法規制のない日本においては、なお一層のことフランチャイジー希望者への知識の普及が必要なのではないか。

全て英語ではあるがメールアドレスを登録すれば誰でも閲覧できるので、是非とも参照されたい。

https://www.franchise.edu.au/home/education/for-franchisees/pre-entry-franchise-education

2016年08月13日

フランチャイズ契約を締結する前に現、元オーナーに質問すべき事項

オーストラリア競争消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission)がグリフィス大学と提携して、フランチャイジーやフランチャイジー予定者向けの無料講座を見ると、締約を締結する前(原文では、フランチャイズを購入する前)に、現フランチャイジー及び元フランチャイジーに聞くべき質問事項が用意されている。同チェーンに、フランチャイジーが10以下であればその全員に、10以上であれば、少なくとも現フランチャイジーに10人、元フランチャイジーに10人はコンタクトすべきとしている。また、フランチャイザーが選んだリストを使わず、情報開示書面で提供される全リストから代表的なサンプルを選択せよとしている。日本においても、こうした契約締結前の慎重な調査は十分参考になるだろう。以下、直訳ではあるが、質問リストを記載する。

https://app.secure.griffith.edu.au/apc-franchising/?page_id=142


現フランチャイジーと元フランチャイジーへの質問事項が区別されており、以下「現」と「元」と記載する。

・フランチャイジーとなってどれだけの期間になりますか(現)。
・フランチャイジーであったのはどれだけの期間でしたか(元)。
・このフランチャイズに初めに魅力を感じたのは何でしたか(現、元)。
・このフランチャイズを見つけるまでにどれだけの期間探しましたか(現、元)。
・他のフランチャイズはご覧になりましたか(現、元)。
・他のフランチャイズに比べて、このフランチャイズの何に惹かれましたか(現、元)。
・事前に、何人の現フランチャイジー及び元フランチャイジーと話をしましたか。彼らからとどのような種類の助言を得ましたか(現、元)。
・あなたの調査過程において、フランチャイザーは協力的でしたか(現、元)。
・あなたの調査において、配偶者/パートナー/家族にどのように協力を得ましたか(現、元)。
・フランチャイズの購入前に、会計士、弁護士、ビジネスアドバイザーの助言を得ましたか(現、元)。
・フランチャイズの購入に先立ち、あなた自身において、契約書及び情報開示書面を読みましたか(現、元)。
・販売過程は順調でしたか(ご自身について答えてください)(現、元)。
・あなたがフランチャイジーとしてスタートした時のあなたのフランチャイザーとの関係について説明してください(現、元)。
・現在の関係についてはどうですか(現、元)。
・あなたが事業を開始して、最も驚き、または衝撃を受けたことはなんですか(現、元)。
・あなたはそれをどのように乗り越えましたか(現、元)。
・1週間に何時間、働き、また働いていましたか(現、元)。
・その事業はあなたの収入及びライフスタイルに対する期待を満たしてきましたか(ご自身について答えてください)(現)。
・その事業はあなたの収入及びライフスタイルに対する期待を満たしましたか(ご自身について答えてください)(元)。
・今から考えて、あなたの期待は現実的でしたか(現、元)。
・フランチャイジーとなったことの成果として、あなた自身何を学びましたか(現、元)。
・このフランチャイズで最も良かったことは何ですか(現、元)。
・このフランチャイズで最も悪かったことは何ですか(現、元)。
・あなたはなぜ、フランチャイジーを辞めたのですか(元)。
・このフランチャイズを辞めたことについてどのように思いますか(元)。
・もし、時間が戻ってやり直すことができるとしたら、あなたはそれでもこのフランチャイズを購入しますか(現、元)。
・このフランチャイズについて私が知っておくべきことは何かありますか(現、元)

2016年08月15日

フランチャイズ契約を締結する前にフランチャイザーに質問すべき事項

オーストラリア競争消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission)がグリフィス大学と提携して行なっているフランチャイジーやフランチャイジー予定者向けの無料講座では、締約を締結する前(原文では、フランチャイズを購入する前)に、フランチャイザーに対して質問すべき事項も想定質問集として掲載している。

https://www.franchise.edu.au/home/education/for-franchisees/pre-entry-franchise-education

 

これも粗い訳にはなるが、参考までに和訳文を掲載する。日本とはやや事情を異にするものもあるが、契約締結前にどのような調査をすべきかについての参考にはなるだろう。なお正確には原文に当たられたい。

あなたは、あなたが尋ねた全ての質問に対する回答だけでなく、誰が、その詳細を提供したか、そしていつなされたか(つまりあなたのノートに日付を書く)を記録するべきです。

(これは、フランチャイザーによって提供される全ての情報、とりわけフランチャイズ契約書及び情報開示書面を読む際に、有用なリマインダーとして機能します)。

1 私は、このシステムに従うことで、最初の12ヶ月間につき、どれだけの販売売上高と利益を期待してよいでしょうか。(これは、通常は「どれだけ稼げますか」という大抵の潜在的フランチャイジーが聞いてしまいがちな質問の変形ですが、フランチャイジーは一般的に回答することに消極的です。次の質問はより適切な代替となるでしょう。)

2 私が詳細な及び関連する事業計画作成を行なう支援としてどのような会計データを提供できますか。

3 あなたは、任意の既存の所有会社またはフランチャイズの事業体から実際のデータを提供できますか。もしそれが可能なら、ネットワークの他の事業体と比較しての、これらの事業体の販売実績の全体の順位を示してもらえますか。

4 誰が、いつ、どこで、なぜ、この事業を創立しましたか。創設者は、今日、この事業にどのように関与していますか。

5 フランチャイザー、フランチャイザーの取締役または経営陣のいずれが、これまで犯罪の嫌疑をかけられ、又は有罪とされた、破産した、あるいは企業の取締役であることを禁止されたことはありますか。(フランチャイズ規則は、同種の情報の開示を求めていますが、期間を過去10年間に限定しています)。

6 フランチャイザーは典型的な訓練スケジュールを提供できますか。訓練には、要求される業務を行なう能力の評価が含まれますか。もしそうでないとすると、フランチャイジーがそのフランチャイズを運営する能力はどのように判断されますか。

7 フランチャイザーは、典型的な現場支援のスケジュールとフランチャイジーが利用可能な支援の頻度と内容の詳細を提供できますか。

8 現場支援は、私が初めて開店する時、私の事業において一緒に時間を過ごしてもらうことが含まれますか。その場合には、その期間、どれだけ長く、どのような支援が提供されますか。

9 フランチャイザーの賃貸に関する方針は何ですか(つまり、場所依存のフランチャイズであれば、賃貸物件を有しています)。もしその物件がフランチャイザーから賃貸される場合、何を、もしフランチャイザーが賃貸に関して何らかの利ざやを請求する場合には、どのようにフランチャイジーは最終的には家主に支払われていることを確認できますか。

10 どのような継続的学習とビジネス成長の機会がフランチャイジーに用意されていますか。

11 フランチャイジーがこのシステムに在籍する平均的期間はどれだけですか。

12 直近の3会計年度においてシステムを去ったフランチャイジーのうち(フランチャイズ規則では、開示の時間枠の概要が定められている)、辞める際に資本利益を得た者の割合はどれだけですか。

13 現場支援担当者を含めてた従業員の平均的在籍期間はどれだけですか。

14 直近の12ヶ月間で、フランチャイザー及びその従業員が行なった、フランチャイズ及び業界固有の訓練または教育は何ですか。

15 フランチャイズ及び業界の団体または、フランチャイズシステムを持つ又はフランチャイザーが参加する取引団体は現在どのようなメンバーで構成され、これまで、フランチャイズシステムやフランチャイザーの参加を拒否し、または処分したことがありますか。

16 オーストラリア及び海外における事業の事業における役割、将来の所有権フランチャイザーの長期計画はどのようなものですか。

17 フランチャイズに影響を及ぼす可能性のある現在及び将来の潜在的競争力の脅威は何ですか。そしてそれを打ち負かすフランチャイザーの計画はどのようなものですか。

18 もし毎年更新しているとすると、最大12か月情報開示書面が古くなっていることを考えると、もしフランチャイザーが本日情報開示書面を更新することを要求されることになったら、どの情報が変更になりますか。

2016年08月16日

フランチャイズ契約概要書面を読み解く

我が国においても、中小小売商業振興法において、当該フランチャイズ事業が、特定連鎖化事業(11条)に該当する場合には法定書面(概要書面)事前に加盟希望者に交付し、その説明をしなければならないとされている。商品の販売を伴うフランチャイズであれば、多くは特定連鎖化事業に該当する。なお商品の販売を伴わないサービス業にかかるフランチャイズであっても、日本フランチャイズチェーン協会の自主開示基準に則って、同様の概要書面を交付している例もある。

かかる規制は、他国の立法からすれば極めて不十分な開示規制といわざるを得ない。ただし、加盟を真剣に検討している者においては、内容を全てみるのは当然として、精査すべき項目が入っている。それは直近3事業年度の加盟者数の推移(新規加盟者数、中途解約件数、更新された件数、更新されなかった件数)及び訴訟件数(加盟者から提訴された件数、本部が提訴した件数)である。

当該フランチャイズに加盟を検討する者が何故この項目を精査すべきなのか。それは、当該フランチャイズ加盟による起業の失敗率を示す指標となるからである。フランチャイズ加盟による起業を検討している人は、少なからぬ初期投資をし、さらには銀行の融資を受け、自らの労働力や時間も投下して、それ以上のリターン(利益)を得ることを目標としているはずです。当該フランチャイズが全体として順調に行っているのであれば、新規加盟者数に比べて中途解約数はずっと少ないはずです。そして順調な経営が出来ているのであれば加盟者としては契約を更新しない理由も通常はないはずです。新規加盟者数(あるいは加盟者総数)に対する中途解約件数や更新しなかった件数の割合はまさに起業の失敗率と比例します。

そして、本部と訴訟になるというのは、元加盟者側からの提訴であれ、本部からの提訴であれ、起業としては究極の失敗例です。究極の失敗例が複数あるというのであれば、加盟を検討している者としては最大級の慎重な調査が必要になるということです。

当職は事件処理に関連して、ある貴金属等買取り系のフランチャイズチェーンの概要書面を複数年分検討するということがありましたが、次のような数字になっていました。(なお、1通の概要書面には通常最低限の3年分しか記載がありません。)

年度    フランチャイズ店舗数  新規加盟数  中途解約数
2008     13         18      5
2009     84          82     13
2010     191        130      7
2011    248         106     49
2012    254          84      67
2013    293          92      46
2014    286          67      74

新規加盟者数に比して中途解約数は驚くほど多いです。新規加盟者総数579名に対して、中途解約となったのは全部で261名ですから、解約率は45.1%です。直近の加盟者に限定したら解除率はもっと高い可能性もあります。せっかく安定して起業したいと考えて加盟金やロイヤルティという対価を支払ってフランチャイズ加盟するのに、2人に1人は失敗してしまうものを選択してしまうのというのは、果たしてこれで良いのでしょう。

さらに、驚くのは次の訴訟件数です。
年度     訴訟件数     本部から提訴した件数
2012     5          0
2013    34         33
2014     5          4

全体で300社弱程度の加盟者しかいないのに、これだけ多くの裁判を抱えている本部というのは、当職も15年間フランチャイズ問題に関わっていますが初めてみました。他のフランチャイズ本部が訴訟になる割合がどの程度なのか、例えば、ザフランチャイズで開示されている大手コンビニチェーンの概要書面の同項目の記載内容を見て、比べてください。1万5000店以上店舗がある本部でも訴訟件数はせいぜい年間1、2年程度です(もっとも、だからコンビニ加盟が良いと勧めている訳ではありません。)。

大切なお金を何百万円も掛けるのですから、いかに加盟前の事前の徹底した調査が大切であるか、よく考えて頂ければと思います。
 

2016年08月23日

セブン-イレブン・オーストラリアにおける賃金過少支払問題

2015年8月、オーストラリアにおいて、セブン-イレブンのフランチャイズ加盟店経営者が、従業員を最低賃金をはるかに下回る賃金で長時間働かせていたことが暴露された。

フェアワークオンブズマンの調査によれば、時間給$10(豪ドル。以下同様)など協定賃金の半額で2倍の時間働かせていた、また調査した60%の店で最低賃金($17.29/時間)に満たない賃金で働かせていた、特に留学生(ビザの関係で週20時間までの労働に限定)を相手に低賃金で週40時間働かせ、訴えて出れば学生ビザを取り上げられるぞと脅すなどしていたことが挙げられている。

今日までに賃金未払いを行なった加盟店経営者が多額の罰金を課せられていることが報じられているほか、従業員からの未払賃金請求は総額$5000万に達するのではないかとされる。

シドニーのレビットロビンソン弁護士によれば、これはセブン-イレブン・オーストラリア本部の政策に起因するという。すなわちセブン-イレブン本部は、フランチャイジーを事実上、民族的なスクーリングで選んでおり、フランチャイジーも従業員は圧倒的に移住者が多く、主に労働法制の弱いインド亜大陸からの出身者であったという。

留学生に賃金支払わないことによって人件費を抑えることは、セブン-イレブン本部が示した当初の予想利益に人件費の過少見積もりとして最初から反映されていたという。逆に、法律通りに賃金を支払うと、フランチャイジーの生活が成り立たない。

同弁護士は、多額の借入金を返済するため経営を続けざるを得ないフランチャイジーの代理人として、ANZ銀行も本部と提携してフランチャイジーにローンを提供したこともこれを助長したとして、本部や銀行に対するクラスアクションを準備しているという。

2016年09月01日

和解金を支払わないフランチャイズ本部に対する債権執行

通常、訴訟上の和解は、債務を負う当事者が任意に支払うことを前提として成立します。請求額全額は支払えないが、この金額をこの支払条件なら(例えば分割払い)支払えるという時に債務を負う当事者は、支払う金額を限定し、かつ支払能力の範囲内で支払えばよいというメリットが生じます。他方、債権を有する当事者としても、強制執行の手間が省けるので、待てる程度の分割払いならそれでよいか、という考えから和解に応じます。

フランチャイズ元加盟者の代理人として情報提供義務違反を理由とする損害賠償請求訴訟を提起した事案で、フランチャイズ本部と分割支払を受ける和解をしたのに、初回から支払ってこないという、あまり常識的でない対応をされた事案がありました。こちらとしては、何かの間違いかもしれないと考え、まずは、先方の代理人に連絡する訳ですが、途中で「もう自分は代理人ではない」などと放り投げてしまわれました。

仕方がないので、強制執行するしかなくなります。このような結果になるのなら判決をもらっておいた方が良かったということになります。

まずは定番の銀行口座の差押えをしてみましたが、差押えが既にいくつも競合していました。他の債権者にも支払っていないようです。

色々と考えて、生徒から毎月の月謝を銀行から引き落とすという形での徴収をしていた本部であったため、収納代行会社への差押えを行ないました。

 差押え債権目録は次のような記載としました。

 代金回収引渡請求権の差押え債権目録
 「ただし、債務者と第三債務者との間の継続的な代金回収代行事務委託契約に基づき、第三債務者が銀行口座引落により債務者ないし債務者の加盟店の利用者から回収した授業料から、第三債務者の債務者に対する代金回収代行事務委託手数料を控除した残額につき、債務者が第三債務者に対して有する回収代金引渡請求権にして、平成××年1月20日から平成××年7月20日までの間に支払期が到来するものの内、支払期の早いものから、頭書金額に満つるまで。」

半年間程度は毎月継続的に押さえるという内容ですが、代金回収代行業者の約款で、差押えは解除事由にあたるようです。本件でも回収できたのは1か月分でした。

 和解金の回収には程遠いのですが、フランチャイズ本部は破産をすることもなく、なぜか営業は継続しています。そこで、ロイヤルティの差押えを行ないました。

 ロイヤルティ請求権の差押え債権目録
「ただし、債務者と第三債務者Aとの間のB店のCのフランチャイズ契約に基づき、債務者が第三債務者Aに対して有するロイヤルティ請求権にして、平成××年3月20日から平成××年10月31日までの間に支払期が到来するものの内、支払期の早いものから、頭書金額に満つるまで。」

 これは現役加盟店に負担をかけるので、協力してもらえる加盟店を見つける必要があります。本件では、何とか現役加盟店の協力を得られ、無事、和解金+遅延損害金を回収しました。このような本部を契約を継続しなければならない現役加盟店も被害者の一人といえましょう。

2016年10月18日

クローズアップ現代+「「好調」コンビニに“異変”あり」

2016年11月17日放送のクローズアップ現代+「「好調」コンビニに“異変”あり」の取材を受け小職がコメントをしております。25分番組ながら、コンパクトに問題点がよくまとめられていたと思います。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3894/1.html

コンビニエンスストアは、平均的な店舗でも1日50万円程度は売上高があります。月間1500万円、年間では1億8000万円を超える売上高となるのですから、通常の小売業の感覚からすれば、かなり良い商売のように思えます。

しかしながら、売上金は加盟金オーナーが自由に使えるお金ではなく、まず本部に全額送金させられることなります。送金されたお金から、本部が売上総利益(いわゆる粗利)から大雑把には50%をまず取り、商品の仕入れ代金その他の経費の支払に充てられ、オーナーには本部から後で利益相当額が振り込まれてきます。月1500万円の売上高があっても、それはせいぜい50万円くらいです。売上金はオーナーの前を素通りしていくのです。

50万円という金額にもカラクリがあります。コンビニはオーナーの他に奥さんや家族を専従者として勤務させることが最初から組み込まれています。オーナーが1日10時間、家族が1日6時間のシフト勤務をこなし、家族の給与も込み込みでの50万円です。専従者がいない場合には従業員を雇用することになりますから、本部から振り込まれる利益相当額は単純計算で一月、1200円×6時間×30日=21万6000円減ることになります。毎日身を粉にして勤務しても、振り込まれる金額は29万円にしかなりません。これではオーナーを希望する人がいないと考えたのか、家族を専従者として勤務させることを条件としているというのが、見かけの手取収入を増やすカラクリです。

カラクリはこれだけはありません。本部が控除する支払には従業員の社会保険料は含まれていません。正社員とか週20時間を超えて勤務するパート社員を雇用する場合、50万円とか29万円という金額の中から社会保険料の支払をしなければなりません。

最低賃金が上がれば人件費も上がり、オーナーの利益は益々減少する一方です。オーナーが出来ることは何か。それはパートを減らして、自分が長時間のシフト勤務に入ることです。必然的に割増賃金がかかる深夜に自らシフト勤務することが多くなります。オーナーは時間や労力を費やすだけでなく、健康を害し、家族との良好な関係をも失うおそれがあります。

さらに、近隣に競合店ができて、売上高が下がったらどうなるでしょうか。オーナーが長時間労働を続けるといっても限界があります。冗談ではなく、生命の危機に瀕することになりかねません。

コンビニは現代日本では、社会のインフラなどといわれますが、これを下から支えているのは、単なる個人商店でしかない加盟店オーナーです。しかし、彼らの権利を守る実効的な法律は日本にはまだありません。果たして、これで良いのでしょうか。

2016年11月25日

オーストラリア、中小企業保護のため事業者間の約款規制に踏み出す


オーストラリア競争・消費者委員会がニュースリリースを発表している。フランチャイズ契約も含まれるが、中小事業者保護のために、事業者間契約における不公正条項を規制する新法を施行したとのことである。日本語は、下記サイトのニュースリリースの仮訳である。正確を期すためには、原文に当たられたい。

https://www.accc.gov.au/media-release/businesses-remove-unfair-contract-terms-before-new-law

 

企業は新法の前に不公平な契約条項を削除する

2016年11月10日

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)の、潜在的な不公平な契約条項に関する新しい報告書では、7つの業界にわたる46の契約の評価を詳述しており、様々な企業が中小企業向けの標準契約書に変更を加える結果となる。

ACCCは、今週(11月12日)、新法を施行し、不当契約条項に対する消費者保護を、オーストラリアにおける最大200万の中小企業に対しても拡張する。

報告書「中小企業向けの不公正な契約」において、広告、電気通信、小売店舗の賃貸、請負、フランチャイズ、廃棄物管理、農業を含む、7つの業界における事業者間契約につきACCCが特定した共通の懸念事項の業界ごとの明細を規定している。

「企業は、ACCCが、土曜日から不公正契約条件を対象とすることにつき、教育段階から強制的なアプローチに移行したことを認識すべきだ」とACCC副議長のマイケル・シェーパー氏は述べた。

「オーストラリア郵便局、ニューズ・リミテッド、オプトゥス・アンド・スクエントレ・グループ(ウェストフィールド)などの企業は、昨年のACCCとの前向きな合意により、新法の発効時に問題となっていた契約条項を修正または削除している」

「中小企業は年間平均8種類の標準契約書による契約を締結しているが、11月12日以降、これらの契約は、「そのまま無条件に受け取るかやめるかを決める」的に提案される契約書の不公正条項を防止する新法の適用を受ける。

ACCCは、広く普及しており、懸念を引き起こす可能性がある3つの問題のある条項を特定した。

 契約の重要な側面を一方的に変える権利を一方当事者に与えている条項、損失・損害をを当該契約書の提供者から、中小企業へと不当に変更しようとする条項、非合理な解約・終了を行なうことができる条項はほとんどの場合、不公平さへの懸念を引き起こす。このようなタイプの条項に依存する企業は、ACCCや他の当事者による行動を招き入れることになることに気付くべきである。

企業は、契約期間が当事者間の義務の不均衡を生み出すかどうか、事業におけるニーズを保護するために十分かどうか、そしてそれが相手方に損害を与えるないかどうかを検討すべきである。企業は、潜在的に問題のある条項が、正当な利益を保護するために必要な範囲でのみ適用されるようにするべきである。

報告書は、これらの特定の懸念についてこれらの業界に指針を提供するだけでなく、11月12日から不公平とみなされる可能性のある種類の条項について、他の業界で営業する企業にも一般的な指針としても役立つだろう。

これまでの調査では、約3分の2の中小企業が、署名した契約条項で不公平を経験したと主張しており、結果としてほぼ半数が被害を受けたと報告している。。

「中小企業契約における不当な条件」参照

背景

この法律は、2016年11月12日以降に締結された標準契約に適用される。契約が2016年11月12日以降に変更される場合、法律は変更された条項に適用される。

対象となる契約には、当事者の少なくとも一方が20人未満の従業員を雇用していること、初期価格が1年間で30万ドルであるか、1年間以上の契約の場合には100万ドルを超えないこと、オーストラリアにおける商品やサービスの供給契約に関するものであること。

標準契約は、応答側当事者が条件を交渉する機会をほとんどまたは全く提供しない - 「そのまま無条件に受け取るかやめるかを決める」という基準で提供される。

法律には、下記を含む不公正な契約条項の例が記載されている。
•一方当事者のみが契約上の義務を回避または制限することを可能にする条項
•一方当事者のみが契約を終了させることができる条項
•契約違反または契約終了のために一方当事者のみが違約金を課せられる条項
•一方当事者のみが契約条項を変更することができるとする条項。

ある条項が不公正であると判断できるのは、ACCCではなく、裁判所のみである。しかしながら、裁判所がある条項がが「不公正」であると判明した場合、その条項は無効になる。これは当該条項が当事者を拘束しないことを意味する。契約のその余の条項は、不公正条項なしに営業が可能である限り、当事者を引き続き拘束する。

2016年12月22日

フランチャイズ契約における不公正な条項の規制(オーストラリア)

オーストラリアは、中小企業との契約における不当条項の規制に乗り出し、フランチャイズ契約もその対象としている。ACCCが説明のパンフレットを発行しており、フランチャイズに関する事項について、日本での規制について参考とするため、以当該部分について訳文を作ってみた。小職は英語についてもオーストラリア法についても専門家ではないため、素人の仮訳にすぎず、正確にはACCCのホームページから、原典にあたって頂きたい。

Unfair terms in small business contractsの17~19頁

http://www.accc.gov.au/publications/unfair-terms-in-small-business-contracts

5 フランチャイズ

 オーストラリアにおけるフランチャイズは、売上高146億オーストラリアドルの部門であり、食品小売、健康関連、宿泊施設、管理およびサポートサービス、自動車小売及び修理、情報技術サービスなど、さまざまな業界をカバーしている。2016年時点で11220のフランチャイザーが国内で運営し、7万9000店のフランチャイズ店があるとそれぞれ推定されている。フランチャイザーとフランチャイジーは、ACCCによって執行されている義務的フランチャイズ行為規範を遵守することが要請されている。

フランチャイズ部門は、標準形式による契約が普及している部門であることに加えて、フランチャイズ関係はフランチャイザーとフランチャイジーとの間の固有の力関係の不均衡によって特徴付けられるという事実に基づき、調査の対象として選択された。

 ACCCとフランチャイザー7社に調査に参加するよう要請した。2つの主要な自動車ブランドを含む3社は、全く参加しないことを選択した。

様々な不公正の可能性のある条項が、各取引者から問題提起された。一方的に運営マニュアルを変更する権利、不当な損害賠償条項、およびフランチャイジーや店長が運営できなくなった場合に、フランチャイザーに契約を解除する権利を与える条項などを含む。

一方的に運営マニュアルを変更する権利について

一方的な変更条項が不公正であるかどうかを評価する際に、権限によって変更し、あるいは権限の行使を制限する義務の性質を考慮することが適切であるだろう。

ACCCは、一方当事者に一方的にフランチャイズ契約の重要な事項の変更を許すもの、とりわけ制限を受けず大幅に一方的に変更することを許す条項は、不公正条項規制法の下で問題を提起する可能性があるという見解である。

 フランチャイズにおいては、フランチャイザーは、中核的な事業情報だけでなく、詳細な方針と手順を定めた運営マニュアルをフランチャイジーが遵守することを求めるのが一般的である。運営マニュアルは、通常、フランチャイズ契約とは別の文書であるが、フランチャイザーはしばしば、フランチャイズ契約期間中の実質的な権利とフランチャイジーの義務を設定する。フランチャイズ契約は、多くの場合、運営マニュアルの条項を契約に組み込み、そうでないとしても、運営マニュアルの条項をフランチャイジーに遵守するように要請する。

 調査された全てのフランチャイズ契約において、フランチャイザーが一方的に運営マニュアルを変更することを可能にする条項が含まれていた。ACCCがこれらの条項について懸念を持ったが、フランチャイザーは、一方的に運営マニュアルを変更する権限は、変化する市場にそのシステムを適応させるために不可欠であると主張した。

運営マニュアルを変更する権限は、フランチャイザーの正当な利益を保護するためにある意味で合理的必要性があるとしても、フランチャイザーが制約なく、運営マニュアルの全体を変えることを可能にする条項は、不公正条項規制法の下では懸念を引き起こしうる。とりわけ、マニュアルに実質的な権利・義務条項が含まれる、またはフランチャイジーが運営マニュアルを遵守しない場合に、フランチャイジーに不利益な影響がある場合には、なおさらである。

 ACCCのこうした懸念に応え、あるフランチャイザーはいつでも運営マニュアルを変更することができるとする条項を、それが合理的に必要な場合にのみ変更できるとする条項へと修正した。運営マニュアルを変更する権利の制限は、適切な場合には、ACCCの懸念を軽減するだろう。

 全てのフランチャイザーの応答が良好であったとはいえない。例えば、別のあるフランチャイザーは、その変更がフランチャイズシステムを改善する場合にのみ、一方的にそのマニュアルを変更できることとする契約へと修正した。ACCCの見解では、そのような条項は、それ以外の点では、契約を一方的に契約を変更するフランチャイザーの制限のない権限を制約するものではない。システムを「改善」するために行われた変更といっても当事者間の権利・義務における重大な不均衡を引き起こしかねず、フランチャイザーの正当な利益を保護するために合理的必要性がない可能性があり、かつフランチャイジーに不利益な結果を生じさせる可能性がある。

 3番目のフランチャイザーは、運営マニュアルを変更する権限は、変更を行なう前にそのフランチャイズのフランチャイジーの委員会に諮問するという要件によって軽減されたと主張した。しかしながら、委員会の勧告は、当該フランチャイザーを拘束するものではないし、諮問するという要件は、フランチャイザーの変更権限に対する十分な制約を提供していない。ACCCは、諮問するという要件に関わらず、当該フランチャイザーが、マニュアル変更に際して、フランチャイジーの委員会を無視することができるのであれば、依然として懸念事項となりうるという見解である。

 残りのフランチャイザーは、運営マニュアルの変更につきフランチャイジーが事前告知を受けている場合には、一方的な変更条項も公正であると主張した。ACCCは、事前告知の提供と、(変更内容を考慮した)告知期間が妥当であることは、変更された条項が不公正であるかどうかを評価するにあたって関連する考慮事項になることを認めている。しかしながら、事前予告それ自体だけでは、その条項が不公正とならないためには十分でないろう。具体的には、変更権限が事前告知以外の点では、大半が制約されておらず、フランチャイジーの事業の重要な側面において不利益な影響となる場合は、事前告知で十分であるとはいえないだろう。

 ACCCはフランチャイザーが、フランチャイズ契約書及び/又は運営マニュアルを一方的に変更することを可能とするあらゆる条項につき適切な制約を置いているかどうかを確認することを勧告する。さもなくば、不公正条項規制法の下で危険を冒すことになろう。


損害賠償の予定について

フランチャイジーが契約に違反したり、特定の行為をした場合にフランチャイザーに対して支払う損害賠償の予定(すなわち決まった金額)を定める条項は、フランチャイズでは比較的一般的である。

 ACCCの見解は、損害賠償の予定額は、違反または行為に関連するフランチャイザーの純粋な損失見積を反映しなければならないというものである。単にフランチャイジーを罰すると解される損害賠償条項は不公平となりうる。


具体例:フランチャイジーがトレーニングに出席しなかった場合の事業の損失を公平に反映した

 ACCCが調査したあるフランチャイズ契約書では、フランチャイジーが更新研修や随時行なわれる会議に参加することが求められていた。その契約書は、フランチャイジーが研修や会議にを欠席した場合に当該フランチャイジーが$1000を支払わなければならないとしていた。

 ACCCは、この金額は、フランチャイザーが、フランチャイジーの欠席によって被るであろう損失の純粋な事前推計額であるとは考えられないと懸念した。

 ACCCとの合意に基づき、当該フランチャイザーは、フランチャイジーが欠席した場合、フランチャイジーが支払うものは、研修や会議の総コストを、そのネットワーク内のフランチャイジーの人数で割った額のみ支払うよう、条項を変更した。


取引制限について

 フランチャイズ契約の大多数には、フランチャイジーがフランチャイズシステムを辞めた後に、一定の期間、従事できる仕事や地域や内容を制限することを目的とした取引制限条項が含まれている。

 何が公正な取引制限条項であるかは、関連する業界に依る。しかしながら、一般的に、取引制限条項が不公正であるかどうかについての見解をまとめる場合は、ACCCは制限の範囲、制限される地域、フランチャイジーのが携われない行為の範囲を考慮することになろう。

 ACCCは、制限する期間と地域に関して、連鎖的な値を定める条項について、フランチャイザーに懸念を表明した。例えば、フランチャイジーがフランチャイズシステムを辞めた後に、その場所から複数の距離を(降順で)複数の距離を指定することがありうる。最大距離が契約から適用除外されたとしても、次の最大距離が制限地域に適用されることになる。

 あるフランチャイザーは、その契約から取引制限する期間と地域の最大値を削除することに合意した。ACCCは、全てのフランチャイザーに対して、これらの取引制限条項が、彼らの正当な利益を保護するために合理的に必要な範囲であるかを確認するよう、奨励している。

 解約について

 フランチャイズ加盟には、多くの場合、かなりの投資が必要とされる。その契約が終了した場合にフランチャイジーが被りうる重大な損失の観点から、ACCCは、フランチャイザーが、不合理な理由でフランチャイズを解約しうる権限を付与する条項について懸念を表明している。

ACCCとの合意後、多くのフランチャイザーは、かれらの契約における解約条項にについて重要な変更を行った。

具体例:問題のある解約条項の削除

 あるフランチャイザーの契約書では、フランチャイジーが90日間に4つの契約違反をした場合には、その違反の重大性やフランチャイジーが既に違反を改善したか否かに関わらず、契約を解約することができるとしていた。この条項は、懸念を引き起こしたため、当該フランチャイザーは、その契約から条項を削除することで合意した。


具体例:フランチャイザーが解約できる条件の改正

 ACCCが調査したあるフランチャイズ契約は、フランチャイザーが、フランチャイジーまたはその指名するマネージャーが、能力不足のためフランチャイズ運営を90日間継続して(または継続する可能性がある)できないと判断した場合、フランチャイザーは、契約を解除することができるとしていた。

 ACCCとの合意に基づき、当該フランチャイザーは契約を変更し、フランチャイジー及びその指定するマネージャーがいずれも能力不足である場合にのみ解約できるとし、また、フランチャイジーに指名したマネージャーを交代する機会を与えるものとした。当該フランチャイザーはまた、能力不足期間が90日間継続するであろうとみなされるのは、客観的証拠がその見解を指示する場合に限ることを明らかにした。ACCCの見解は、この条項の変更は、より公正なものとするだろうと考える。

2017年01月12日

4/7午後6時日弁連シンポ「オーストラリアのフランチャイズ法制に学ぶフランチャイズ規制の在り方」

日本には2015年度には1300を超えるフランチャイズチェーンがあり、店舗数は26万店舗を超え、その売上高は年間24兆5000万円を超えているといわれています(日本フランチャイズチェーン協会による統計調査)。コンビニエンスストアをはじめ、市民の生活になくてはならない存在となっています。
 ところが日本にはフランチャイズを規制する法律が十分にはなく、そのため加盟店と本部の間の法的紛争が絶えません。日弁連は、昨年10月に、フランチャイズ規制がうまく機能しているといわれているオーストラリアのフランチャイズ規制法を調査しました。
 本シンポジウムでは、オーストラリアのフランチャイズ規制法の内容と特徴を報告し、これを参考にして日本のフランチャイズ法制の在り方を検討します。ふるってご参加ください。

 

日時:2016年4月7日(金) 午後6時 〜 午後8時 (開場:午後5時30分)
              場所:弁護士会館17階   (千代田区霞が関1-1-3)

参加費無料 事前申込み不要


◆基調報告・講演(予定)
 ・長谷河亜希子氏(弘前大学人文社会学部准教授)
  「オーストラリアのフランチャイズ規制の概要」
 ・中村昌典(日弁連消費者問題対策委員会委員)
  「ACCC(Australian Competition & Consumer Commission)訪問報告」
 ・中野和子(日弁連消費者問題対策委員会委員)
  「FCA(Franchise Council of Australia)訪問報告」
 ・佐藤千弥(日弁連消費者問題対策委員会委員)
  「OFMA(Office of the Franchising Mediation Adviser)訪問報告」
◆パネルディスカッション
  <パネリスト>
   ・長谷河亜希子氏(弘前大学人文社会学部准教授)
   ・中村昌典(日弁連消費者問題対策委員会委員)
   ・佐藤  衛(現FC加盟店・元FC本部法務担当)
  <コーディネーター> 
   ・中野和子(日弁連消費者問題対策委員会委員)

2017年03月08日

公正取引委員会、セブン-イレブン・ジャパンに下請法に基づく勧告

平成29年7月21日、公正取引委員会は,株式会社セブン-イレブン・ジャパンに対し、下請代金支払遅延等防止法第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する行為が認められたので,本日,下請法第7条第2項の規定に基づき,同社に対し勧告を行ったという。

違反事実の概要を公正取引委員会の発表から引用すると下記の通りである。

(1) セブン-イレブン・ジャパンは,消費者に販売する食料品の製造を資本金の額が3億円以下の法人たる事業者に委託している(これらの事業者を以下「下請事業者」という。)。
(2) セブン-イレブン・ジャパンは,平成27年9月から平成28年8月までの間,次のア又はイの行為により,下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減じていた。減額した金額は,総額2億2746万1172円である(下請事業者76名)。
 ア 「商品案内作成代」(注1)を下請代金の額から差し引いていた。
 イ 「新店協賛金」(注2)を下請代金の額から差し引いていた。
(3) セブン-イレブン・ジャパンは,平成28年10月31日及び平成29年7月5日,下請事業者に対し,前記(2)の行為により減額した金額を支払っている。

 

圧倒的な経済力を背景として、関連業者や加盟店に対する、こうした不当な対応がコンビニ・フランチャイズ業界では何度も起きている。公正取引委員会には法の適切な執行をより一層期待するところであるが、根本的には、フランチャイズ業界を適切に規律する加盟事業法(フランチャイズ規制法)の制定が必要だろう。

2017年07月22日

韓国 加盟事業取引の公正化に関する法律

経済法の研究者である松尾和彦氏は韓国の経済法の邦訳を公開しておられ、同国のフランチャイズ規制について概観するのに便宜である。

 

http://hangookbeop.blogspot.jp/2014/03/franchise.html

http://koreanlaw.wixsite.com/matsuo

 

これをみると韓国では極めて、加盟店保護の進んだ規制がなされており、我が国の法制度は隣国から15年以上遅れてしまっていることになる。正確には上記松尾氏のサイトを見ていただくとして、特徴的な条文の概要は下記の通りである。

 

第6条の2 情報公開書の登録
加盟希望者に提供する情報公開書を公正取引委員会に登録する。
情報公開書は公開される。

第6条の3 情報公開書登録の拒否
虚偽や必要な内容が記載されていない場合には登録を拒否し、内容の変更を求めることができる。

第6条の5 加盟金預託制度
加盟本部は加盟者から受領した加盟金を金融機関に預託しなければならない。
加盟店が営業を開始した場合か、契約締結日から2か月間を経過した場合に、預託加盟金が本部に支払われる。

第7条 情報公開書の提供義務
加盟本部は、情報公開書及び近接加盟店現況説明書を提供した日から14日経過しない間に加盟金を受領し、加盟契約を締結してはならない。

第9条 虚偽・誇張された情報提供の禁止
虚偽・誇張された情報提供の禁止
欺瞞的な情報提供の禁止
加盟者の予想売上高、利益等の将来の予想収益に関する情報を提供する場合には、書面で行なわなければならず、その情報の算出根拠資料を閲覧させなければならない。一定の場合には、加盟本部は予想売上高算定書を書面で提供しなければならない。

第10条 加盟金の返還
7条、9条違反の場合の加盟店による加盟金返還要求が可能。

第12条 不公正取引行為の禁止
加盟本部による不公正な取引行為の禁止
営業支援の不当な中断・拒絶
事業の不当拘束、制限
取引上の地位を利用して、不当に加盟店に不利益を与える行為
過重な違約金の賦課

第12条の3 不当な営業時間拘束の禁止

第12条の4 不当な営業地域侵害の禁止
加盟本部は加盟店に営業地域を設定し、契約書に記載しなければならない。
加盟本部は正当な事由なくして、加盟店の営業地域において同一の業種の直営店、加盟店を設置してはならない。

第13条 加盟契約の更新
加盟本部は、正当な事由なくして加盟店による更新要求を拒絶できない。
加盟店の契約更新要求は10年を超過しない範囲において行使できる。

第14条 加盟契約の解除の制限
加盟本部が、契約を解除する場合には、2か月以上の猶予期間をおいて、契約違反の事実を具体的に明らかにし、これを是正しなければ契約を解除するとの事実を書面をもって2回以上通知しなければならない。

第14条の2 加盟店事業者団体の取引条件の協議等
加盟店は、権益の保護及び経済的地位の向上を図るために、加盟店事業者団体を構成することができる。
加盟本部は加盟事業者団体による協議要請に誠実に応じなければならない。

第16条 加盟事業取引紛争調停協議会の設置
加盟事業に関する紛争を調停するために、韓国公正取引調停院に加盟事業取引紛争調停協議会をおく。

第32条 調査開始対象行為の制限
取引の終了した日から2年を経過しない取引につき、公正取引委員会の調査対象。

第33条 是正措置
公正取引委員会による違反行為の是正による必要な措置の命令

第34条 是正勧告
公正取引委員会による、是正措置を命じる時間的余裕がない場合に、是正方法を明示して従うことを勧告することができる。

第35条 課徴金

第41条 罰則 

2017年12月15日

韓国 フランチャイズ本部団体による自主規制


MK NEWS 2017/10/27は韓国のフランチャイズ本部団体が自主規制を策定したことを報じている。

http://japan.mk.co.kr/view.php?category=30600004&year=2017&idx=7042

 

概要は下記の通り。法律による加盟店保護が進んでいる同国であるが、自主規制を実施し、より一層の加盟店の権益保護に踏み出したようである。

韓国フランチャイズ産業協会(IKFA)」は「韓国フランチャイズ産業協会自浄実践案」を策定した。

・加盟店事業者とのコミュニケーション強化
 加盟店主の交渉力を高めるために加盟店100店舗以上の加盟本部は、1年以内に店主と協議を経て代表性のある加盟店事業者団体を構成し、共存協約を締結しなければならない。

・流通暴利の根絶
 必須購入物品の押し売り自制。必須アイテムの範囲をブランドの品質と、サービスの同一性維持のために必要な物品に最小化。必須物品の原産地、メーカー、加盟本部の特殊関係人の関与の有無、リベートの受け取りの履歴などの関連情報を情報公開書に記載する。

・加盟店事業者の権益保障
 契約更新要求権を行使できる期間の制限(法律上10年)を撤廃し、無制限とする。加盟本部が一方的に加盟契約を解約したり、不公正な更新条件を提示することの防止。

・健全な産業の発展

2017年12月15日

平成30年消費者契約法改正 困惑類型の取消事由拡大

平成30年消費者契約法改正法が同年6月6日成立し、平成30年6月15日公布された。公布の日から起算して1年を経過した日(平成31年6月15日)から施行される。

 消費者契約法の申込み又は承諾の取消事由(第4条)について、2項の主観的要件を「故意又は重過失」と変更したほか、第3項の困惑に乗じた場合の取消しうる類型として3号以下に下記類型が加わった。

三 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。
イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事項
ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項

四 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

五 当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。

六 当該消費者に対し、 霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。

七 当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該消費者契約を締結したならば負うこととなる義務の内容の全部又は一部を実施し、その実施前の原状の回復を 著しく困難にすること。

八 前号に掲げるもののほか、当該消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該事業者が調査、情報の提供、物品の調達その他の当該消費者契約の締結を目指した事業活動を実施した場合において、当該事業活動が当該消費者からの特別の求めに応じたものであったことその他の取引上の社会通念に照らして正当な理由がある場合でないのに、当該事業活動が当該消費者のために特に実施したものである旨及び当該事業活動の実施により生じた損失の補償を請求する旨を告げること。

 

「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件が、若年者に限られるとも読めることから、取消しうる場面を狭めてしまうと相当の議論があった。

参議院の附帯決議で「一 本法第四条第三項第三号及び第四号における「社会生活上の経験が乏しい」とは、社会生活上の経験の積み重ねが契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものであること、社会生活上の経験が乏しいことから、過大な不安を抱いていること等の要件の解釈については、契約の目的となるもの、勧誘の態様などの事情を総合的に考慮して、契約を締結するか否かに当たって適切な判断を行うための経験が乏しいことにより、消費者が過大な不安を抱くことなどをいうものであること、高齢者であっても、本要件に該当する場合があること、霊感商法のように勧誘の態様に特殊性があり、その社会生活上の経験の積み重ねによる判断が困難な事案では高齢者でも本要件に該当し、救済され得ることを明確にするとともに、かかる法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。」とされていることからも、当該要件は広く解釈すべきであり、若年者に限るものではない。また、5号についても「二 本法第四条第三項第五号における「その判断力が著しく低下している」とは、本号が不安をあおる事業者の不当な勧誘行為によって契約を締結するかどうかの合理的な判断をすることができない状態に陥った消費者を救済する規定であることを踏まえ、本号による救済範囲が不当に狭いものとならないよう、各要件の解釈を明確にするとともに、かかる法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。」という附帯決議がなされている。


2018年06月15日

コンビニ加盟店が直面する社会保険未加入問題

週刊ダイヤモンドオンライン(2018.7.24)は「コンビニ加盟店の苦悩、本部は「社会保険未加入問題」も対応渋る」と題する特集を掲載している。

https://diamond.jp/articles/-/175533

 

コンビニ本部がコンビニ加盟店から徴収するロイヤルティは、いわゆる粗利益に課金し、加盟店の支払う人件費その他の経費支払いの前に先取りしている。

平均的なコンビニの1日の売上高は50万円である。月商1500万円、年商にすると1億8250万円ということになり、他の商売からみると立派な売上高だが、コンビニオーナーに残る純利益は驚くほど少ない。

ひと月の粗利益は(粗利益率30%弱として)420万円、このうち約半分がロイヤルティとして本部が先取りする。残りの210万円から、人件費その他の経費を支払い、残りはせいぜい50万円である。

しかし、この50万円というのは本部が作成する損益計算書上の数字であって、オーナーが全額を利益として手にできる数字ではない。

記事で取り上げられている社会保険、じつは、本部の損益計算書には計上されていない。すなわち、本部作成の損益計算書上ではオーナーの利益のように見える「50万円」から負担しなければならないのである。正社員や週20時間以上勤務するパートを抱えていれば、その負担額はすぐに十数万円に達する。大まかな計算であるが、月の人件費130万円に対して社会保険料負担は約15%、19万5000円となる。オーナーはこれでは到底やっていけないし生活できない、ということになる。

本部の設定しているロイヤルティ率は、オーナーがぎりぎり生活しているレベルで設定したものと想定されるが、従業員の社会保険料は勘定に入れてなかったのであろう。現に多くの加盟店は今だ社会保険未加入である。ロイヤルティの設定は、昭和50年台、安い単価で雇用できるアルバイト・パート従業員でシフトを回すことを想定していた。しかし、この構図はもはや維持が困難である。最低賃金も上がっている。コンビニを今後も維持するのであれば、ロイヤルティが高すぎるのであって、下げるしかない。

コンビニ本部は加盟店と向き合い、きちんと対話して、社会情勢の変化に応じた相応の負担を負うべきである

2018年08月08日

フランチャイズの情報提供義務違反事案で安易に過失相殺すべきではない

 フランチャイズにおける情報提供義務違反をめぐる紛争では、本部側は「加盟者にも過失がある」などと主張し、裁判所もそれを当然であるかのように受け止める傾向にあった。しかし、近時、当職が加盟店側代理人として担当した案件で注目すべき裁判例が出た。東京高裁平成30年5月23日(判時2384号51頁サイクルストップ事件)がそれであり、詳細に事実認定を行った上で、一審が過失相殺5割としたのを取り消し、過失相殺を認めないと判示したものである。

兵庫県弁護士会消費者判例検索システムに掲

「前記2及び3(2)認定の事実を総合すると,かねてから放置自転車回収・販売業に従事していた第1審被告Y1及び同Y2は,第1審原告らを勧誘した時点で,すでに多数の業者が同業に参入しており,300万円内外の加盟金を支払ってパートナーとして新規加盟者になっても,自らの営業努力で回収できる自転車の台数はわずかであることを知っていたと認められる。また,第1審被告Y1及び同Y2が第1審原告らを勧誘した時点で,それ以前に加盟したパートナーの大半はせいぜい月数万円程度の売上げしか上げられない状態であり,第1審被告Y1及び同Y2はそのことを認識していたと認められる。そうであるにもかかわらず,第1審被告Y1及び同Y2は,第1審原告らに対し,放置自転車は無限にあり,ライバルのいない未開拓市場(ブルーオーシャン)であって,パートナーになれば,月70万円ないし100万円程度の収入を得ることができる,結果の出ていないパートナーはいないなどと虚偽の説明をして第1審原告らを勧誘した上その旨誤信させ,1人当たり300万円内外の加盟金を支払わせてこれを受領しているから,第1審被告Y1及び同Y2の勧誘行為は,故意による詐欺として不法行為に該当するといえる。」
「第1審被告らは,第1審原告らは有名企業等で働くビジネスマンであるにもかかわらず,第1審被告らに対し希望エリア(商圏)の売上予測等の情報を求めていないなど,第1審原告らには重大な過失があるから過失相殺が認められるべきであると主張する。
 しかしながら,本件のような故意による不法行為であって犯罪成立の可能性すらあるものによる被害について,過失相殺をすることは,極力避けるべきである。第1審被告Y1及び同Y2は,第1審原告らが放置自転車回収・販売業に関する知識や経験が全くないことにつけこんで,故意に加盟金等の名目で金員を騙し取ったものであることを考慮すると,第1審原告らに,損害額の算定に当たって考慮しなければならないほどの落ち度があったとは認められない。過失相殺は,当事者間の公平を図るため,損害賠償の額を定めるに当たって,被害者の過失を考慮する制度であるところ,第1審被告らの不法行為は,故意による違法な詐欺行為であって,このような場合に,被害者である第1審原告らの損害額を減額することは,加害者である第1審被告らに対し,故意に違法な手段で取得した利得を許容する結果になって相当でない。過失相殺に関する第1審被告らの主張は採用できない。」


 この判例時報の冒頭に付された解説も明快であり一読に値する。フランチャイズ事案だから加盟者にも過失があるなどと漫然と判断していた従前の裁判例や実務に厳しく反省を求めるものとなっており、参照価値が高い。フランチャイズ加盟店側で代理人を務める弁護士の皆さんには是非、参照の上、安易な過失相殺をさせない工夫を凝らしてもらいたい。
 参考までに、当該事件で提出した控訴理由書の過失相殺に関する主張部分を抜粋して掲載する。なお、過失相殺に関する「総論」部分は、当職のオリジナルではなく、全国先物取引被害研究会で発表されたものをフランチャイズ事案に適用したものである。

(3)過失相殺について
   原判決は、結論として、「事情を総合考慮して、損害の公平な分担の見地から、原告らに生じた損害のうち50%を減じるのが相当である」と5割の過失相殺を行った(23頁)。この判断は適切とはいえず、過失相殺をすべきではない理由につき、後述する。
 2 過失相殺について
(1)過失相殺の基本理念について
   過失相殺をすべきか否かを検討するにあたり、第一に重要なのは、民法722条の基本理念である。
   民法722条は「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」と規定している。極めて抽象的な条文であり、裁判所の裁量を広く認めている。どのような場合に過失相殺を行うべきかは、結局、不法行為制度の基本理念である損害の公平な填補という観点から決することになる。
 まず、法は、被害者に「過失」がなければならないということを要求している。いうまでもなく、この「過失」は単なる「ミス」ではなく、損害の発生・拡大に寄与する過失でなければならないし、相手方に不法行為が存在することが前提であるから、その相手の不法行為と比べて、対当させて相殺するに足るような「過失」である必要がある。
   また、民法722条は、被害者に過失があっても必ずしも相殺しなくて良いことを規定している。過失相殺は、上述したとおり、加害者の行為と比較して行うという相対的なものである以上、加害者側の違法行為の程度が酷ければ、被害者側の軽微な過失はそれに対当させるべきものではない場合もありうる。
   すなわち、過失相殺は、あくまでも対加害者との関係での相対的な問題であり、第三者の目でみて「何らかの落ち度」があるとしても、それだけで過失相殺をすべきではなく、「対加害者」との関係で相殺すべきものかどうかを慎重に吟味する必要がある。
   被害者側に一定の軽率さがあっても、加害者側の違法性・悪質性が強度であれば、過失相殺をすべきではない。例えば、空き巣の犯人に対し被害者が損害賠償請求訴訟を提起した場合に、犯人に対し「ドアの鍵が開いていた。被害者にも過失があるから、賠償額は8割でいい。」などという法的判断は常識的に反する。窃盗犯は、まさに、その被害者の過失を知りながら、これを、あえて利用して、故意の不法行為により利益を得たのである。このような犯人が、被害者の落ち度を理由に賠償額が減少されるべきなどということは考えられない。
(2)加害者が故意の場合について
   過失相殺を考えるにあたり、検討すべき重要な視点は、上記述べたところと密接に関連するが、「故意による不法行為に過失相殺すべきか」という視点である。「過失相殺」という言葉そのものから明らかなとおり、過失相殺は過失と過失を対当させて相殺するものである。ところが、故意と過失は質的に全く異なるから、対当して相殺させるべき実質がない。また、取引的不法行為の場合、加害者の故意は、被害者の無思慮に乗じて被害者の落ち度を導きだすことに向けられる。そうすると、加害者が意図したとおりに不法行為が成功した場合に、加害者が導いた被害者の無思慮等の落ち度を、加害者との関係で過失相殺の理由とするのは、正義に反するといえる。
(3)フランチャイズにおける情報提供義務違反について
   フランチャイザーのフランチャイジーに対する情報提供義務違反の場面における過失相殺を考えるにあたっては、甲33の文献の下記言及(注、加藤新太郎編「判例check契約締結上の過失」平成16年(新日本法規)342~343頁)が参考になる。
「フランチャイズ契約について消費者契約法が適用されないことは前記のとおりであるが、「情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み」、これらの面で劣後する者を保護すべきであるという消費者契約法1条の趣旨が、同法の対象外の領域には全く妥当しない、と解する根拠はない。フランチャイジーは、フランチャイズ契約を締結することによって、多額の投資を行うことになるのが通例であり、予想に反して事業が行き詰まった場合には、経済的な再起不能に陥ることもあり得る。」「法と経済学用語を用いれば、安価事故回避者はフランチャイザーであり、まずもってフランチャイザーにおいて、失敗に至る可能性の高い事業を開始させないため適切な注意を払うことを要求するのが妥当ではないかと思われる。」
  「契約締結後の利益状況に関する取決めいかんによっては、フランチャイザーには、やや正確さを欠く情報を提供してでも、フランチャイジーを獲得しようとするインセンティブが働く危険性が否定できない。フランチャイザーにおいて、適切な注意を払えば賠償責任がないと解することにより、失敗に至る可能性の高い事業を開始させないため適切な注意を払うインセンティブを作り出すことができよう。」
   フランチャイザーはフランチャイジーになろうとする者に対して正確で適切な情報を提供しようと思えばそれは簡単に(安価に)実現できる。しかし、フランチャイザーには正確ではない情報を提供してでもフランチャイジーとして契約させ加盟金やロイヤルティを獲得したいという動機付けや誘惑が常にある。判例法理としての情報提供義務は、こうしたフランチャイザーの誘惑を防止し、フランチャイズ業界の安全性や健全性を確保するものでもある。
   他方、フランチャイジーは当該業界においては単なる素人であり、フランチャイザーから提供された情報を検討したり、吟味したりするとしても、フランチャイザーとは「情報の質及び量並びに交渉力の格差」があり、自ずと限界がある。このように、情報提供義務違反が問題となる場面において過失相殺を検討する場合には、両者の非対等性を考慮にいれるべきである。
 3 本件における過失相殺についての検討
(1)被控訴人(一審被告)らの強度の違法性
   本件は加盟者の大半が不採算で赤字という、ビジネスの体すらなしていない、まさに加盟金取得だけを目的とする詐欺事案である。被控訴人らは既存加盟店の悲惨な実情を知りつつ、全く根拠のない過大なシミュレーションを提示して、新規加盟者を募った。被控訴人らの行為の違法性は強度であり、前述した加害者が故意の場合ないしそれに匹敵する事案であり、そもそも過失相殺になじまないというべきである。加害者側の悪質性が強度であれば、被害者の過失と加害者の加害行為は対当せず、相殺すべき実質を有しない。
(2)控訴人(一審原告)らの落ち度
 ア 原判決は、フランチャイジーになろうとする者は、自己の経営責任の下に事業による利益の追求を企図する以上、提示・開示された情報の正確性や合理性を検討、吟味し、必要であればさらなる情報の提供を求めたり自ら調査するなどして、最終的には自己の責任と判断において決断すべきとし、①控訴人(一審原告)らが相当程度の社会人経験を有する、②一審被告I及び一審被告Nとの面談の機会があったのだから、希望する地域に即した売上高や数字の根拠、裏付け資料の提出などを求めて検討・吟味することが可能だった(のにしなかった)ことを控訴人らの「過失」と判断しているようである。
 イ 前述したように、フランチャイザーとフランチャイジーとの間には「情報の質及び量並びに交渉力の格差」や非対等性がある。控訴人らが社会人として一定の経験や知識を有するとしても、「放置自転車回収業」なるビジネスには何の情報も経験もない素人にすぎないのであって、被控訴人らから説明された情報について、それが正しいのか、あるいは正しくないのかを判断する知識や経験はない。①の事情が本件において過失相殺における控訴人らの「過失」に該当するとは考えがたい。
 ウ ②についても、控訴人らは被控訴人Y1やY2との面談に際して、本当にシミュレーションで示された売上高や利益が上げられるのか質問し、被控訴人らが可能であると回答したことをもって、契約締結を決断したものである。サイクルストップの「放置自転車回収業」という事業に最も精通しているはずの被控訴人Y1と被控訴人Y2がそのように説明したのだから、控訴人らにおいてこれを疑う理由がない。控訴人らは、「放置自転車回収業」なるビジネスには何の情報も経験もない素人であり、そのビジネスについて独自に調査した上で判断せよというのは根本的な無理がある。
  フランチャイジーになろうとする者は、フランチャイザーから提供される情報以外に、当該事業の優良性を判断する材料が基本的に無いのだからその情報を信用することに落ち度があるとはいえない。
 エ 原判決は、控訴人X1が約9ヶ月、控訴人X2が約6ヶ月、控訴人X3は開始前に本件事業に見切りをつけていることに言及している。おそらくは、短期間で事業の見切りをつけたことにより、控訴人らの損害の発生・拡大という結果を回避したという意味で「過失」の度合を低める事情として判断したものと解される。
   過失相殺は、被害者の落ち度によって、損害の発生・拡大という結果を招来したことによってなされるものである。逆からいえば、損害の発生・拡大とは関係ない落ち度は、過失相殺における被害者の「過失」には該当しない。前述した①及び②の事情はいずれも、損害の発生・拡大とは関係のない事情であり、被害者の「過失」には該当しないというべきであろう。
 オ 以上より、控訴人ら側には損害の公平な分担の観点から、指摘されるべき過失はない。
 (3)結論
控訴人らが、本件事業を優良なものと誤認して契約締結に至ったのは被控訴人らの提供した情報が不適切・不的確・不正確であったからである。本件事業について何ら情報や知識のない控訴人らがかかる情報に依拠して契約締結の意思決定をしたことについて控訴人らに落ち度はない。
   故意ないし意図的に違法行為を繰り返している被控訴人らに不当な利益を保持させることは適当ではない。
   本件においては過失相殺は認めず、被控訴人らに対して損害全額の支払いを命ずるべきであり、原判決のその旨、変更されるべきである。

2019年02月28日

経済産業省 コンビニ調査2018

 経済産業省がコンビニオーナーに対するアンケート調査結果を公表している。

 

 コンビニ調査2018https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/franchise2018.html

2014年度の調査との比較によりコンビニオーナーの苦労が一目瞭然となっている。

1 人手不足について
 人手が不足しているとの回答割合が22%(2014)から61%(2018)へと大幅増である。
2018年度で従業員が不足しているとの回答と、足りているが何かあれば運営に支障がでるとの回答の合計は95%である。人手不足は深刻化している。
 自由回答欄の主な回答は、コンビニ業務の複雑化、業務が大変とのイメージ、他店舗との人材の取り合いとのことであった。

2 満足度
大変満足としているとおおむね満足しているとの合計割合が70%(2014)から53%(2018)と減少している。満足していない理由は想定よりも利益が少ない、労働時間/拘束時間が想定していたより長すぎるが上位2項目であった。

3 契約を更新したいか
  経営を続けたい割合が68%(2014)から45%(2018)へと減少している。更新したくない理由は小売業を営みたくない、フランチャイズではなく自営したい、が上位2項目であった。

4 売上高
  1店舗あたりの売上高(調査は年間売上高だが日販に換算した)
  日販27.4万円未満 11%
  日販27.4万円~41.1万円 26%
  日販41.1万円~54.8万円 26%
  日販54.8万円~68.5万円 21%
  日販68.4万円~ 12%
分からない 5%

 日販41.1万円未満で37%と3割を超えている。また日販54.8万円未満で63%と6割超えである。
  売上が減少したとの回答割合は50%であった。オーナーが極めて厳しい立場に置かれていることは明らかであろう。

  人件費の高騰に対応するためにコンビニ本部はチャージ率を下げるなどして対応しないと、とても個人の努力では対応できないところまで来ていると思われる。加盟店オーナーは社会インフラと見なされているコンビニを個人の努力で支えているのであり、オーナーを守る政策や法律が必要である。 

2019年06月21日

詐害行為取消判決に基づく代位抹消登記

詐害行為取消請求事件の和解に基づいて、所有権者に代位して根抵当権抹消登記を行なった時のものである。和解調書は判決正本と同等の取扱となる。本件では代位原因は、所有者に対する損害賠償事件の確定判決による。その場合、代位原因の日付は、判決確定日を書くようである。

 

            登 記 申 請 書

登記の目的  根抵当権抹消(順位番号後記のとおり)

原   因  令和元年○月○日 詐害行為取消

権 利 者  ○○市○○番地○○
(被代位者)  ○ ○ ○ ○

代 位 者 東京都新宿区○○番地○○
      ○ ○ ○ ○       

代位原因 平成31年○月○日 損害賠償の強制執行

義 務 者 ○○市○○番地○○       
     ○ ○ ○ ○      

添付情報
 登記原因証明情報(和解調書正本) 代位原因証明情報(判決書正本)
 代理権限証明情報


令和元年6月○○日申請    ○○地方法務局○○支局


代位者代理人   東京都新宿区四谷1-20秋庭ビル2階 中村法律事務所

         弁護士 中 村 昌 典

連絡先の電話番号03-5919-0745

登録免許税  金1000円


不動産の表示
不動産番号
(一棟の建物の表示)

(専有部分の建物の表示)

(順位番号○番)

2019年06月24日

仲裁決定と強制執行

東京弁護士会は紛争解決センター(ADR)を設置しており、紛争解決を目的として案件を持ち込むことができる。裁判所の調停と比べた場合の印象としては、初期費用は調停申立時に必要な印紙額とするとADRの方が申立費用が安いが、解決時に解決額に応じた費用がかかるので、ややADRの方が高め、解決までの期間としてはADRの方が調停と比較してやや早い、というものである。ADRで和解した際、仲裁決定の申立をして、和解と同内容の仲裁決定をもらい、債務名義化しておくことができる。

もっとも、この債務名義たる仲裁決定に基づいて強制執行するためには、裁判所に対して執行決定の申立を行い、執行決定をもらう必要がある(仲裁法45条1項ただし書)。そして仲裁法46条10条が準用する同法44条5項は「口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋期日を経なければ」その決定をすることができないと規定されている。

当職が担当した事案で弁護士会のADRを使い、和解した上で仲裁決定をもらったものがあったが、本年3月末の支払をしなかった。そこで強制執行すべく、執行決定の申立を行った。事件番号は「令和2年(仲)○号」であり、係属したのは民事通常部である。

東京地裁はコロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて、東京地裁は4月8日から5月6日までの裁判の期日を原則として全て取り消した。進行について係属部に問い合わせたが、上述の口頭弁論ないし審尋期日を5月6日までに入れることはできない、との回答であった。これでは強制執行ができなくて債務者の逃げ得になるし、強制執行に準じたものとして早期に手続を進めるべきではないかと意見を言ったが、結論は変わらなかった。執行決定までどれだけの時間がかかるのか読めなかったため平行して、保全部に仮差押えの申立を行った。保全部は上記期間も通常対応のようである。仮差押えの担保額は差押債権額の1割だった。発令までは漕ぎ着けたが、結局、その後、債務者は自己破産の申立を行い、破産開始決定となった。

ADRでまとまれば通常は相手方から任意の履行が期待できるとはいえる。しかし、強制執行の可能性がある事案の場合にはADRではなく、調停を選択した方がよい場合がありうるというのが現時点での結論である。また、コロナウイルスによるかかる事態の経験をしたのであるから、執行決定については保全部で対応する、といったように裁判所の対応も変更すべきではないかと考える。

2020年04月22日

「コンビニはどうなる ビジネスモデルの限界と“奴隷契約”の実態」発売

image1


コンビニはどうなる ビジネスモデルの限界と“奴隷契約”の実態 花伝社 1500円(税別)

 

花伝社ホームページ



●内容紹介●

いま、コンビニに何が起こっているのか?
コンビニ・フランチャイズ問題の最前線から見えてきた現実とは――

加盟店側代理人として数多くの「コンビニ紛争」を手掛けてきた弁護士が解き明かす、コンビニ・フランチャイズ問題の構造と最新動向。

加盟店は本部と、こうして闘え!



●目次●

第1章 コンビニ問題の現在
第2章 コンビニ紛争の構造的問題
第3章 コンビニ・フランチャイズ問題のこれまでとこれから
座談会「コンビニの未来のために」

 

 

2020年10月22日

中小小売商業振興法施行規則改定

 経済産業省は、中小小売商業振興法施行規則を2021年4月1日に改定しました。翌年である2022年4月1日に施行されます。

 中小小売商業振興法は、中小小売商業の「特定連鎖化事業」(小売業のフランチャイズに該当する)において、契約締結前に、フランチャイズ本部が加盟希望者に対して、経済産業省令で定める事項を記載した書面を交付して、その記載事項について説明しなければならないとしています。

 従前は、店舗の収益に関する事項が入っていませんでしたが、今回これに関する事項を追加したものです。
 具体的には、「加盟者の店舗のうち、周辺の地域の人口、交通量その他の立地条件が類似するものの直近の三事業年度の収支に関する事項」であり、少なくとも、次の内容を記載しなければならないとしています。

イ 当該特定連鎖化事業を行う者が把握している加盟者の店舗に係る次に掲げる項目に区分して表示した各事業年度における金額((6)にあっては項目及び当該項目ごとの金額)
(1)売上高
(2)売上原価
(3)商号使用料、経営指導料その他の特定連鎖化事業を行う者が加盟者から定期的に徴収する金額。
(4)人件費
(5)販売費及び一般管理費((3)及び(4)に掲げるものを除く。)
(6)(1)から(5)に掲げるもののほか、収益又は費用の算定の根拠となる事項
ロ 立地条件が類似すると判断した根拠

 今回の改正は、判例法理として認められているフランチャイズ本部の加盟希望者に対する情報提供義務において、とりわけ収益に関する情報提供義務につき、一つの明文上の法的根拠を与えるものと評価できます。小売業でない他のフランチャイズにおいても、こうした情報を加盟者に提供すべき必要性は何ら変わりはありません。
 「中小小売商業」というくくりを止め、早くフランチャイズ事業適正化法として拡充・拡大する立法を行うべきです。

 今後、フランチャイズ加盟を検討している方においては、たとえ施行前であっても、「前倒し」でそうした情報の開示をフランチャイズ本部に求めるべきでしょう。ウイン-ウインを目指すことを真剣に考えている本部であればこれを拒否することはないでしょう。逆に開示を拒むフランチャイズ本部であれば、今後は加盟リスクが高いと考えるのが妥当かと思います。小売以外のフランチャイズでも全く同様です。「法律がない」ことを理由に情報開示をしないフランチャイズには加盟すべきではない、といえます。

2021年04月15日

フランチャイズ加盟は何のため/誰のため

独立起業の手段として、フランチャイズ加盟を選択する方は多いのですが、我が国においてフランチャイズ加盟することについて当職には根本的な疑問があります。

それは「いつまで経っても自分のビジネスにはならない」ということと「出口がない」ということです。

フランチャイズ契約は期限のある契約です。5年とか、コンビニだと10年や15年間と定められています。フランチャイズ本部は「元気なうちはいつまででも働けます」などと勧誘します。加盟希望者も契約書を斜め読みして契約が自動更新されるように思っています。しかし契約書を良く読むとそうではないことが分かります。「甲ないし乙から事前に書面による意思表示がない限り、〇年間の自動更新とする」と記載されていませんか。この条項の読み方は「加盟者に自動更新権はなく、本部が拒否したら、契約は更新されずに終わってしまう」と理解するのが正しいことになります。仮に、ようやく軌道に乗ってこれからだと思っていのに、本部から「更新しません。契約は終了です。」といわれてしまう恐ろしい条項なのです。

それでは「商売にはある程度慣れたので、1人で独立して続けるか。」と考えるかもしれません。これも契約書をよく読みましょう。「競業禁止」条項があるはずです。加盟者に対して、契約終了後、2年とか3年、同種の商売をすることを本部が禁止する条項です。加えて、それに反した場合の違約金の定めがあるかと思います。ロイヤルティ30か月分とか1000万円とか個人では支払えないような途方もない金額が定められています。これもまた実に恐ろしい条項です。

「店舗を第三者に売却する」とか「親族に相続させる」ことを考えましたか。これも契約上おそらく禁止されています。加盟者の死亡は契約解除事由ですので相続もできません。また、第三者への売却をさせないよう、店舗はおそらくわざわざ転貸借契約としていると思います。

海外では、フランチャイジーであっても店舗を繁盛させ、その価値を高めてから第三者に売却することは認められています。しかし我が国にはフランチャイズを適切に規制する法律がないため、契約書で禁止されてしまっているのです。フランチャイズを一種の投資として考えてください。不動産投資であれば、程度の良い新築や築浅のマンションを購入し、一定期間は賃料収入を得て、マンションの市況の良い時期にこれを第三者に売却して投下資金を回収することができるでしょう(なお、不動産投資を勧める趣旨ではありません)。

フランチャイズ加盟による事業は基本的に不動産売却のような「出口」がありません。一気に投下資本を回収する手段がなく、ただ終わってしまうのです。

これがフランチャイズではない、自分自身で始めた事業ならどうでしょうか。店舗を繁盛させて、辞めたくなったら第三者に売却することも可能でしょう。店舗数を増やして法人化し、いずれ親族に相続させることも考えられますし、さらに事業が大きくなれば上場するという方法もあり得るでしょう。しかしフランチャイズ加盟では基本的にはできません。
フランチャイズ加盟とは、投下資本を回収する手段は毎月の利益のみであり、最後は所有権が無くなってしまう(美味しくないし、楽しくもない)不動産投資のようなものです。

フランチャイズ本部からすると、加盟者が入れば、加盟金を徴収でき、毎月のロイヤルティを徴収でき、辞める時も場合によっては違約金を請求できます。年に数十件も元加盟者に違約金を請求して提訴するフランチャイズ本部すらあります。我が国のフランチャイズは本部のためにあるのであって、到底、共存共栄とかウイン-ウインの関係にあるとはいえません。

会社員の方が、自分が現在貰っている給料と、フランチャイズ本部が提示する毎月の予想収益とを比較したくなる気持ちは分かります。本部が提示している数字はおそらくは月の営業利益が70万から80万円前後、ちょっと頑張れば年収1000万円を達成できそうな、魅力のある数値を提示されていませんか(そうした数字にほとんど根拠がなく、紛争となるケースも多いです)。

しかし、フランチャイズ加盟を「投資」として考えた時、そこには大きな欠陥がある、と言わざるをえません。「ローリスク・ミドルリターン」といわれるフランチャイズですが、加盟をお勧めできない理由は上記述べた通りです。

当職は、加盟店側代理人としてフランチャイズ加盟者の相談を20年以上、相談だけの方を含めて少なくとも数百名の方から受けてきましたが、契約「前」に相談された方は記憶のある限りわずか2名のみです。大半の方は、契約し、加盟金を支払い、経営を開始してようやく「話が違う。騙された。」と思うのです。

フランチャイズ加盟が正しい選択なのかよくよく考えてほしいと思います。また周囲にフランチャイズ加盟を考えている方がいたら、本サイトを紹介して頂ければ幸いです。

余談になりますが、昨年、あるフランチャイズフェアを開催している会社の社員から講演依頼のメールがありました。フィーはこれこれ、内容はこれこれ、それで良かったらさせてやってもよい位の「上から目線」の内容でした。おそらくは当職の前著の題名だけ見て(読んでいれば分かる)、本部側の弁護士だと勘違いしたのだと思います。当職は、私の立位置を知っているのか、それでもよければ受けると回答したところ、「上司と相談する」と回答があり、その後、結局お断りのメールが来ました。一貫して実に失礼な対応でしたが、「言いたいことを全て言っていいという条件ならフィーは要らないからいつでも呼んで欲しい」と送りました。今でもそう思っていますのでいつでも呼んでください。講演の題名はもう決めてあります。「フランチャイズ加盟なんかやめておけ」です。

2021年08月04日

日弁連「フランチャイズ取引の適正化に関する法律を求める意見書」

私も日弁連消費者委員会独禁法部会で起案に関与した日弁連の意見書、理事会で可決・執行されました。
 
https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2021/211019.html


2021年10月19日
日本弁護士連合会

本意見書について
日弁連は、2021年10月19日付けで「フランチャイズ取引の適正化に関する法律(フランチャイズ取引適正化法)の制定を求める意見書」を取りまとめ、同月20日付けで経済産業大臣及び公正取引委員会委員長に提出しました。


本意見書の趣旨
1 
国は、フランチャイズ取引の健全な発展を図り、同時に加盟者が不当に不利益を受けることのないよう、早急にフランチャイズ取引の適正化に関する法律(フランチャイズ取引適正化法)を制定すべきである。

2 
法律は、名称を問わず、いわゆるフランチャイズ・システムと言われる事業形態において、小売業(外食業を含む。)及びサービス業を主たる事業として営む中小企業基本法の定める規模の中小企業者を加盟者とする場合に適用されるものとし、以下の内容を含むものとすべきである。
  (1) 
フランチャイズ本部が加盟希望者に対して情報提供義務を負うことを明文化するとともに、労働人時を明確にした合理的な収益情報やドミナント出店のリスクに関する情報等の重要と考えられる事項につき、現行の中小小売商業振興法の情報提供制度の拡充を行い、かつ、情報提供義務違反の場合の加盟者の中途解約権や損害賠償請求権を定め,情報開示に関する規制の強化を図ること
  (2) 
フランチャイズ本部に、フランチャイズ契約の契約書ひな型及び事前に開示すべき書面の経済産業省への届出及びインターネット上での一般公開を義務付けること
  (3) 
開業日から1か月間を初期事業撤退可能期間とし、加盟者が無条件で解約して返金を求められる制度を創設するとともに、返金を確実にするために加盟時支払金を公的な機関が預かる制度を創設すること
  (4) 
フランチャイズ契約において、加盟者に一方的に不利益な営業時間を定める条項、過大なロイヤルティを定める条項、加盟者の契約終了後の投資回収機会を奪う競業禁止条項,加盟者に正当事由がある場合の中途解約を妨げる条項、過大な違約金条項及び本部による正当事由のない中途解約又は更新拒絶を可能とする条項等のフランチャイズ・システムによる営業を的確に実施する限度を超える不公正な条項を不当条項として無効とすること
  (5) 
加盟者が団体を設立する権利を保障し、フランチャイズ本部に、加盟者が団体を設立すること又は団体に加入することを妨げてはならないこと、団体に加入することを理由として加盟者を不利益に取り扱ってはならないこと、また、加盟者の団体に対して誠実に交渉に応じることを義務付けること
  (6) 
フランチャイズ本部が情報提供義務に違反した場合は、経済産業省が指示、是正措置命令、業務停止命令等の行政措置を採ることができることとし、これらに従わない場合は公表や罰則を科すことができることとすること
  (7) 
公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」において、優越的地位の濫用に当たるものとして例示する行為(取引先の制限、仕入数量の強制、見切り販売の制限、営業時間の短縮に係る協議拒絶、事前の取決めに反するドミナント出店等、フランチャイズ契約締結後の契約内容の変更及び契約終了後の競業禁止)を禁止行為とし、フランチャイズ本部がこれらに違反した場合は、公正取引委員会が、指示、是正措置命令、業務停止命令等の行政措置を採ることができることとし、これらに従わない場合は公表や罰則を科すことができることとすること
  (8) 
フランチャイズ契約当事者間の紛争を専門的かつ迅速に解決するための紛争解決制度を創設すること

2021年10月22日