消費者契約法改正 過量契約の取消

消費者契約法改正法が平成28年(2016年)5月25日に成立し、同年6月3日に公布された。施行期日は1年後の平成29年(2017年)6月3日である。

1 過量な内容の消費者契約法の取消

消費者契約法第4条4項として、規定が新設された。

消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(以下この項において「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の分量等(消費者契約の目的となるものの内容及び取引条件並びに事業者がその締結について勧誘をする際の消費者の生活の状況及びこれについての当該消費者の認識に照らして当該消費者契約の目的となるものの分量等として通常想定される分量等をいう。以下この項において同じ。)を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、消費者が既に当該消費者契約の目的となるものと同種のものを目的とする消費者契約(以下この項において「同種契約」という。)を締結し、当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるもので
あることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする。
消費者契約の分量等が過量(通常の分量等を著しく超えるもの)であること
契約勧誘当時、事業者がこれを知っていたこと(故意)

過量販売が、訪問販売として行なわれた場合には特定商取引法9条の2の解除の適用もあることから、消費者契約法はそれ以外の場面でも適用があることから、被害救済の範囲が拡大するものと想定される。
事業者の過量性についての認識(故意)の主張・立証責任は消費者側にあると解されている。分量が客観的に過量であれば、通常は過量性の認識はあると考えられるので、過量ではあるが、事業者の故意がなかったと判断される事案は多くないと思われる。

2016年07月08日