消費者契約法改正 重要事項の範囲拡大

消費者契約法第4条5項3号において「重要事項」の範囲を拡大し、契約の目的物に関しない事項についての不実告知についても取消が可能となった。

同法4条5項

第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項(同項の場合にあっては、第三号に掲げるものを除く。)をいう。
一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
三 前二号に掲げるもののほか、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該消費者の生命、身体、財産その他の重要な利益についての損害又は危険を回避するために通常必要であると判断される事情

これにより、これまでは取消の対象とはならなかった「床下にシロアリがいるので、駆除しないと家が倒壊する」と言われてシロアリ駆除作業を頼んだが、実際にはシロアリ被害はなかった事例や、原野所有者が、測量会社から「土地が開発されて売却できそうです」と言われて、測量契約を締結したが、実際には市場性は認められない事例などへの適用が想定される。後者については財産・利益について「損害又は危険を回避する」に該当するか論点となりうるが、原野の売却による利益を得られないという消極的利益であっても、これに該ると解されている。

2016年07月11日